アラブがきっと身近になる!『アラブ・エクスプレス展:アラブ美術の今を知る』

 アラブ地域というと、みなさんはどのようなイメージを持っていますか?
砂漠地帯、石油の原産国、イスラム教徒が多い、あと、えーと、男性がターバンを巻いていて、口ヒゲが……立派。
そう、「あんまりよく知らない」というのが本音ですよね。
近年、経済成長が目ざましく、日本とも深い関わりがあるにもかかわらず、私たちはアラブ地域に対してステレオタイプな印象しか持ち合わせていません。
ましてや今、アラブの現代美術が世界から注目を集めているなんて、思いもよらないのではないでしょうか。

 ここ数年、欧米の美術館ではアラブ現代美術を紹介する展覧会が頻繁に開催され、ドーハ(カタール)にはマトハフ・アラブ近代美術館が開館(2010年)、アブダビ(アラブ首長国連邦)にはルーブル美術館とグッゲンハイム美術館が建設中だったり、実はアラブ地域のアート産業は成熟しつつあるんです。
そんなアラブの現代美術に焦点を当てた日本で初めての展覧会『アラブ・エクスプレス展 アラブ美術の今を知る』が、6月16日(土)から六本木ヒルズ森タワー・森美術館にて開催されます。
 森美術館ではこれまでにも、中国、アフリカ、インドと、非欧米地域の現代美術を日本に紹介する企画展を開催してきましたが、今回は独自の現地調査で選んだ約30組のアーティストの作品を展示しています。
私たちはつい「アラブ地域」とひとくくりにしてしまいがちですが、展覧会の対象地域のイラクからサウジアラビア、アラブ首長国連邦、レバノン、エジプトだけでも、各地域によって言語や宗教の戒律、生活習慣はさまざま。その豊かな多様性を鮮やかに反映した作品群が集まっています。

 また、アラブ地域というと冒頭に挙げたようなステレオタイプな印象がつきもの。
聖地エルサレムの問題をはじめ、テロや紛争、宗教や民族の対立、政治的な分断などネガティブなイメージがばかりが報道されがちですが、本展では現地の人々の日常や等身大の生活を映しだすような作品を通して、アラブ文化を身近に感じることができるようになっています。
中にはポピュラー・カルチャーに想を得た作品もあり、私たちと変わらないポップな感性を垣間見ることもできます。
 国際結婚やインターナショナルな恋愛も、欧米人だけが相手ではありません。
アートを通じて心の距離が縮まれば、世界にはまだまだたくさんの出会いが待っていると思えるはずですよ!

名称:アラブ・エクスプレス展 アラブ美術の今を知る
会期:2012年6月16日(土)~10月28日(日)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:10:00~22:00(火曜日のみ17:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
入館料:一般1,500円 学生(高校・大学生)1,000円 子供(4歳~中学生)500円
問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL:https://www.mori.art.museum/contents/arab_express/

Text/Fukusuke Fukuda