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  • 2016.04.21

「クリエイティブになりたい」と自撮りをアップする私たち/承認欲求に喰われる心

毎日が新鮮なクリエイティブな仕事には承認欲求も不可欠なもの。でも仕事の実力よりも承認欲求が先立ってしまうと人生が空回りするし、ちょっとした症状が出てしまうことも……。「何者にもなれない私たち」に送るトイアンナさんの新連載スタートです!読んだら胸が苦しくなること間違いなし!

私たちは「承認欲求」を持つ生き物

トイアンナ 承認欲求 クリエイティブ
©Anne Worner

 承認欲求について、あなたはどう思いますか?

 たとえば、クリエイティブと呼ばれる仕事があります。画家、演奏家やダンサーのように一握りの人間が名誉と栄冠を手にするものから、広告制作や編集者のように「会社員」でありつつも文化の営みに携われるお仕事まで含むこともあります。

 ルーティーンを繰り返す業務も楽しいですが、毎日が新鮮で、なおかつ他人へ影響を与えられるような仕事にも憧れますよね。
そんな「クリエイティブな仕事がしたい!」という感情が生まれるのはごく自然なことです。
こういった感情へは少なからず「自分だけの価値を提供して、誰かに尊敬されたい」という承認欲求が存在します。

 クリエイティブな人も、この世に承認欲求がなければ「絵なんか描くのダルい。毎日、決まったスケジュールでネジ生産するの最高だわ」と思うはず。
承認欲求はクリエイティブな仕事に欠かせない「材料」のひとつです。

「クリエイティブな仕事がしたいんです!」「で?」

 その一方で「クリエイティブな仕事がしたい!」ではなく「クリエイティブだと褒められたい! ちやほやされたい!」と承認欲求を目標に動いてしまい、人生が空回りしている方もよく見かけます。

 手始めにTwitterで「かわいくなりたい」という単語で検索してみましょう。ズラリと並ぶ自撮りがご覧いただけます。

 胸が苦しくなってきたかな? でもまだまだ解説するね?

 次にTime Ticketというサービスを見てみましょう。これは様々なジャンルの方が「自分」を時間制で売り買いし、売上の一部をサービス管理会社が寄附する仕組みです。

 プログラミングや語学など専門知識を実際に教えてくださる有用なチケットがほとんどで、私も何度か利用させていただきました。
ですがチケットの中には「女子大生があなたの話し相手になります」「しゅごいしゅごいと褒めます」といったもはや専門知識じゃなくって、性を売りにすることで承認欲求満たすために参加しましたよね……それ? というアブナイ案件も。

 しかし、ここまでの人たちは軽傷の「承認欲求に喰われた人たち」です。何が重症かって?
承認欲求が重症になればなるほど「自己努力の比率が下がる」のです。

 最も重症なのは「私をスカウトしてください」と編集部やアーティストへ連絡してくる方です。
こういった方は、大きな芸能事務所へは連絡しません。大手芸能プロダクションは定期オーディションなどで所属芸能人を選考しており、自己PR文を送りつけても「○月○日に選考会へお越しくださいね」と門前払いされる可能性が高いからです。これでは「私は選ばれた特別な1人だ」と思えません。

 あえて踏み台にできそうな、小さな出版社やプロダクションを狙い、選ばれてスターダムにのし上がる自分を想像する……。
そんな恐ろしい「何者にもなれない私たち」の世界が、いま訪れているのです。

★次回は何者かになりたいという願いが今までどこで消化できていたのか、なぜそれが現代で可視化されたかをお伝えします。


Text/トイアンナ

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