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  • 2014.11.23

9割の男子は学生時代に恋愛を諦めている!恋愛不景気の日本/岡田斗司夫×山田玲司対談(前編)

「オタキング」の名で知られる岡田斗司夫さんと、AMで連載中の漫画家・山田玲司さんによる対談イベント「男の恋愛道」が実現!ダイジェスト版でお送りします。


 2014年8月に開催された、「オタキング」の名で知られ、数々の著書を持つ、岡田斗司夫さんとマンガ家で、AMで「山田玲司の男子更衣室へようこそ」を大人気連載中の山田玲司さんの対談イベント「男の恋愛道」のダイジェスト版をお届けします。
お二人の男性がこの現代でどうにかして恋愛を楽しむ方法に注目です!

現代の日本は、恋愛不経済

AM 恋愛不経済 モテ 岡田斗司夫 山田玲司


岡田斗司夫(以下、敬称略):今日は、イベントタイトルが「男の恋愛道」です。
男性向けの恋愛コンテンツはどうやれば女の子を落とせるかとか、そういうマニュアル的なものが多いんだけど、今回は恋愛道を考えてみようと思っています。

 最初のトピックは恋愛経済の話です。
僕が見るに現在の日本は不景気という状態です。
経済の不景気って何かというとお金がないことでも、貧富の差があることでもない。
不景気の本質は、お金が流通していないことなんですね。
無駄でもいいからとにかく使わせることによって、雇用を作り、人を雇うお金になり、バイト代が上がったりして、色々な物が流通するようになって最終的に景気が回復する。

 それと同じように、現在の恋愛市場も恋愛不景気と定義しているんです。
恋愛の不景気の原因としては、たぶんシンプルに言うと今男の人は「女が怖い」んですよね(笑)。

山田玲司(以下、敬称略):はい(笑)。

岡田:僕ら男は、女の子が怖くて怖くてしょうがないです。
これは、社会の責任もありますし、皆さん一人一人の責任もあるのかないのかわかりませんけど。
そして、女の子側は「ろくな男がいない」「いい男はすでに取られている」と思っている(笑)。

 こうなった結果、男はだんだん恋愛はなくてもいい方向に、女は、山田くんが前に言っていた「エアヤリマン」になっていく。
エアヤリマンってヤリマンじゃないのに、まるでヤリマンみたいなことを言ったりして、実は恋愛経験はさほどないんだけど、恋愛戦場をくぐってきた気がしている人のことですね。

山田:皆さん、AMはご覧になっているんですか?AMで最近掲載された記事に「夏だから野外セックス」っていう(笑)。
そのコラムを読んでいる人はそれをやっているのか(笑)。
恋愛から遠ざかった挙句、一周まわってエアヤリマンだっていう大変込み入っている状態に陥っているんじゃないかと。

岡田:僕らの分析では、AMを読んでいる読者の過半数は処女じゃないかという(笑)。

山田:まぁそういう憶測を呼んでしまうくらいっていうことですよね。

岡田:今日来た男性は、一度AMを見てみてください。男性からするとえげつないことが書いてあって、見たら女が怖くなると思うんです。
でも、実はマッチョカルチャーみたいなものなんですよ。
僕らは、革ジャン着て喧嘩上等のような『北斗の拳』や『風魔の小次郎』は読むけどエア喧嘩しかやったことがない。
それと同じように、女の子も恋愛やセックスでもっと大胆になろうと思っているんだけど、そうなってはいないというのが僕の分析です。

恋愛戦国期バブル時代から現在の恋愛までの流れ

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岡田:現在の恋愛ですが、恋愛戦国期のバブル時代からどう変わってきたんでしょうか。

山田:バブル崩壊からエヴァンゲリオンまでで切ります?(笑)
エヴァの97年に一つ区切りがある気がするんです。つまり、そこでロスジェネ、メンヘラ世代が登場していますよね。

岡田:このあたりからですよね、女の子が面倒くさいことを言って、面倒くさいことが分かってくれる男がいい男みたいな風になった。
男はみんなカウンセラーにならなきゃいけなくなったんですね。

山田:メンヘラが一般化するのがこの年なので、自動的に男はそうならざるを得ない。
それができない男は恋愛市場から引き落とされるという流れがここで生まれてはいるんじゃないでしょうか。

 僕は、恋愛経済のキーワードになるのは「ギャル」だと思うんです。
バブルの時に「イケイケ」と言われていた女性が、「ギャル」と言われた後、性の価値が暴落していくんですね。
そこでパンツを売るところから始まり、汚ギャルになり、最後ホームレスギャルみたいになっていって、それで2007年にギャルの歴史に幕を閉じる、と。

そのギャルたちを、女の子の代表だと思ってみていた、思春期の少年達…つまり、シンジくんですね。
その少年たちが今どうなったのかというと、たぶん宇野くん(宇野常寛)とかになっていると思うんですけど(笑)。

 ロスジェネのこじらせた連中というのは、本当はアスカがほしかった。
要するに、エヴァのアスカは上から目線のギャルだと思うんですよ。
ただ現実のアスカは、シンジみたいなのは相手にしないで、オラオラな男と付き合うんです。
ここで、男女の間に永遠の別れがあると思うんですよ。
そこで、アスカに相手されなかったシンジ君たちが、どうしたかというと、みんながデスクトップの前に居座ることに決めたんじゃないかな(笑)。

岡田:今、男女ともに恋愛することが少なくなって不景気になった。
また別の言い方をすると、恋愛以外でも無料の楽しみがこの世の中に無限にあるということなんです。
つまり、スマホがあれば恋なんていらない。
スマホは、恋愛市場を活性化するような振りをしながら、実は恋愛に使う時間を無限に食いつぶしているんですよね。

山田:そう考えても、やっぱり2007年が恋愛市場においても一本線が引いてあるような気がしてきます。
それで、エヴァからギャルの終わりに初音ミクが登場する。
それまで、恋愛が肉体を伴っていた時代の終わりとともに、初音ミクというバーチャルアイドルの誕生という流れですね。

岡田:二次元で十分だという考え方が浸透してきたということですよね。
大学で教えていても、女子生徒も、男子生徒もそればっかりですね(笑)。
バブルの頃は、まだ恋愛結婚こそが結婚の形の頂点でしたよね。
『男女七人夏物語』みたいなもので同じサークルの中で出会って別れてを繰り返す、乱交文化に近いものがあったはずです。
このまま恋愛がどんどん加速していくのかと思っていたら、いきなり二次元で十分だという方向にいっちゃったんですよね。
おそらく、2007年に恋愛富裕層と恋愛貧困層に二極化したのかなと。

山田:二極化は予言されていましたね。
オタクとリア充とでわかれるだろうって。その頃はリア充という言葉はなかっただろうけど。

岡田:そして、リア充も非モテも同時にスマホを持っちゃっているもんだから、実はリア充ですらも恋愛市場の景気が悪くなってきていると。
これが大雑把な流れですね。

スクールカースト後遺症は、かなり根深い


山田:僕、この間スクールカースト後遺症の話をしたじゃないですか。
全ての人たちは、スクールカーストの後遺症で苦しんでいるだろうという。
日本人は、人生の前半十何年かの間に、後々引きずるぐらいのものすごい後遺症となる目に合うんですよ。

 ひとつは、イケメンがモンスター化していく問題。
『ドラえもん』のジャイアンってヤンチャな乱暴ものなんですけど、現実だとこれが元KAT-TUNの赤西みたいになっていくわけです(笑)。
あんなやつがクラスにいたらどうするんだって。

岡田:ギャルのモンスター化が90年代~2000年代の問題だとすると、2010年代の問題は、イケメンモンスター化ですね。

山田:例えば、クラスに神田うのがいた場合を想像してもらうと、ギャルのモンスター化はイメージがつくと思うんです。
「私、あの子嫌い」って言ったときに、みんな「そうっすね」という感じになって、学校に来れなくなるみたいな。

岡田:ギャルのモンスター化は、モテない男の子のマンガ家がよく描いてくれるじゃないですか。「女の子が怖い」って。
でも、イケメンがモンスター化するって絶対誰も描かないよね。
これは、まず女性漫画には載らない。
なぜかというと、女の子は、モンスター化したイケメンのことを、「私が好きになったイケメンは性格がいいに違いない」って思っちゃうからなんです。『花より男子』の道明寺のパターンですね。

山田:そのモンスター化したイケメンが、私だけを愛してくれるってことを期待してみんなその漫画を読むんですよね。

岡田:なかには性格のいいイケメンもいるはずだと思っている。
でも現実では、性格がいいイケメンがいたとしても、誰か女の子ともうくっついていて、浮気もしないので、手の届かない物件になっているんですね。
現在、25歳のあなたの手に届く性格のいいイケメンなんて存在いませんよって言いたい。

山田:木村拓哉がデビューしたときにすでに彼女がいたとか、藤井フミヤが昔から付き合っていた、幼馴染と結婚したということも、80年代からの流れで一応ありますよね。
だから、そういう幻想を担保する事例もちょっとあったんじゃないかなと。

男が恋愛市場に出ない理由は、
そもそも9割の男子が学生時代に死んでいるから


山田:男って何かというと「ガラスの10代で、プライドモンスターで、自己防衛のために生きている」みたいになりますよね。
さっきのギャルモンスター問題と同じなんですけど、擦れ違いざまに女の子にクスクスと笑われて「きもい」と言われる。
これだけで、男の子は死にますからね。9割ぐらいの男たちは学生時代に殺されているんです(笑)。

 その後遺症に苦しみながら、恋愛市場を生きろって言われても「俺、ちょっと無理ですわ」ってプライドが高くて繊細なゆえに、どうなるかというと、負けないために試合に出ないことを選択していると思いますね。

岡田:モンスター化したイケメン以外の9割の男性は、試合放棄?

山田:そうですね、一旦試合放棄していますね。
その試合放棄したやつらをいかに恋愛市場に引き戻すかということが、恋愛市場の流通を増やす問題においてポイントになると思いますね。

 あと、僕、友達にヤンキーが多いんですけど、ヤンキーメンタリティというのは、威嚇の文化なので、「舐められたらやべぇ」と、言語が違うんですよ。
「つうかヤバくねぇ」「いいじゃんいいじゃん」「なんだよブス!」という言語感覚で自分を守っている連中なんですよ。なので、案外、小心者が多くて、中身がないやつが多い。

岡田:モンスター化した男たちは必ず不毛な男同士の戦いをしてしまうという。

山田:そうですそうです(笑)。
かつてのキングは、いつまでもキングじゃないこともあるんだよというところで、9割の地獄を見てきた人は少し救われてほしいなと思いますね。
そして、デスクトップの前からちょっと立ち上がってほしいなと(笑)。

岡田:それで、現実のギャルはどうなっていったんでしょうか。

山田:ギャルはもう終わったと思っているんですよね。
自分たちの性が商品化されることを、どっかで何かで武装してバロック化して、ヤマンバとかになっていくという流れは、一つの抵抗だったような気がします。
あれは、社会が大きく崩壊していくときに、損ばっかりしていた女の子たちの叫びが表出したのかなと。

 その後に、どうなるかと言うと、エビちゃんの登場があるじゃないですか。
かわいいっていうところに掴まれば、わずかしかいない高収入の男を掴まえられるんじゃないかという幻想は2007年ぐらいから始まっているという気がすごくします。
そこで、ギャルたちは「かわいい武装」に転換して、読モになっていく。

でも一方で、男たちは読モ化した女性たちをおびえているんです。
合コンに行っても俺たちは戦えないな、最初から戦争に行くのはやめようとなっているのはちょっと残念ですね。

岡田:もしかして、AKBが基本的に黒髪でなければいけない理由っていうのもこれ?

山田:そうです!ヤンキーが怖いからです(笑)。
それで、スクールカーストによって何が起こったかというと、学校時代に楽しくなかったから、取り返したいっていう思いがあらゆる文化の中に入ってきていて。
エヴァンゲリオンもそうだと思うんですけど。ほとんどのコンテンツが「本当はこんな学校生活を送りたかったんだ」っていうエッセンスが入ってきている気がしますよね。
僕はAKBをあんまり知らないんですけど、たまたまテレビをつけたらAKBのライブがやっていたんですよ。岡田さんは見たことあります?

岡田:ない(笑)。

山田:セットに校舎があるんですよ(笑)。
それで、校舎までに道が3本くらいあって、メンバーが制服を着て自転車で会場の中を進んでいくんですよ。
最初は「キンコンカンコーン」でAKBのメンバーがガンガン入ってきて、神7の一人が途中で転ぶんですよ。
そうすると、神7のもう一人がやってきて「ほらほら、遅れちゃうよ」っていうところからスタートなんです。「失われた学園生活をさぁここで取り戻してください」っていうショー(笑)。

岡田:でも、ディズニーランドもそれと似たようなことをやっていますよね。
大人社会を否定しないフリをしながら、成長を否定している。
就職するのは可哀想なことでいつまでも学校生活が続くことがよいこと、だと。
大学を卒業すると就職するのではなくて、大学院に行くという道はないのかなとか。30前になった女性が急に留学したくなるのも全て成長することの否定があるじゃないですか。
80~90年代のオタク文化でよく言われた、「大人になることへの否定」ではなくて、もうちょっと深刻なものを感じますね。
なので、ディズニーランドにしても、AKBにしても、成長することが損だって、夢が失うことだと思ってしまう。そんなにみんな大人が嫌なんでしょうかね。

山田:いいことないと思っているんじゃないですかね。
結婚にもしんどいことしか想像できないから、今の男の子にデートの冒頭で結婚を匂わしたら、逃げるんじゃないでしょうかね。

岡田:なんで逃げるんだろうね。

山田:その責任の重さじゃないですかね。
僕は、市場化したというのが大きいと思いますよ。その上で、結婚は損か得かというのをすごく考えているじゃないかなと。逃げ場がない感じですね。

【後編につづきます】

Text/AM編集部

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