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  • 2015.12.21

年齢とともに意外にも脆くなってくる心…愛する人に先立たれるということ

年をとって身体が弱くなるのは当たり前。じゃあ、心は……?パリの老人会で出会った未亡人が教えてくれた意外な悲しみから死について考えさせられます。

いつかやってくる、愛する人の死

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©JULIAN MASON

 私は、死ぬのが恐い。

「死」について考えていると、ブラックホールに吸い込まれてわけがわからなくなるようだ。
自分が死ぬのも、旦那が死ぬのも恐い。
後者はどちらかというと、1人になる寂しさの恐さだ。

 私はパリの老人会なるものに参加している。
日本からパリに移住して何十年という人生の大先輩方々がメンバー。
それぞれ日本では見かけないような個性派ぞろいだ。
最初は気軽にボランティアのつもりで参加させてもらっていた。

 ところが、一歩足を踏み入れてみると彼ら彼女らの魅力にとりつかれて、気がついたらお茶会などの集まりに、楽しみとして参加するようになっていた。
ただ、残念なことにご高齢なこともあり、親しくなってきたなと思っていたら亡くなって、二度とお話ができなくなってしまう人も少なくない。
ここ最近は、立て続けに男性メンバーの方々が亡くなってしまった。
残された奥様、パートナーのメンバーたちは、これまで以上にお茶会に参加して寂しさを紛らわしているように見える。

 そんな奥様たちに、最愛の人に先立たれた心境を伺う機会があった。
フランス人の夫をアルツハイマーで亡くした女性は
「旦那の死のせいで、私自身の気が触れないように、それだけはしっかりとコントロールしようとしてるの」
随分進行していたガンで突如亡くなられた方の奥様は
「若いときならまだ受け止められたかもしれないけれど、今は高齢だから状況を受け止めるのは辛いわ…。 」 とのこと。

 2人の未亡人から話を聞きながら、特にショックだったのは
「若い頃ならまだしも、歳を老いてからの悲しみは堪え難い」
という状況だった。なぜなら、私にとって意外なことだったからだ。

 歳を重ねれば、それだけ人生何十年の中で辛いことを経験しているから、その辛さに対しての耐久性が強くなっていると思っていた。
でも、歳を重ねると、心身ともにもろくなってくる……
その事実をこの目で見て、ますます「死」が、恐くなってきたのだった。

Text/中村綾花

ライタープロフィール

中村綾花
ラブジャーナリスト/ライター。

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