「結婚して出産」の流れが根強い国は超少子化

―― さきほどの事実婚など、よく比較されるヨーロッパは先に進んでるということでしょうか?

大森

そうですね、その点では日本は遅れていると思います。日本の状況が、世界の状況と同じように変わるというわけではないですからね。例えば、欧米では60年代から70年代にかけて「性革命」(=Sex Revolution)が興隆します。この時代というのは、黒人差別撤廃をはじめとし、社会の根本にあるものを覆そうという運動が起きた時代ですが、その頃日本はまだ純潔規範が強かったので。

―― お隣韓国やアジア圏は…

大森

同じです。もっと厳しいかもしれないです。やはり、「結婚して出産」という流れが基本になる国は、合計特殊出生率も上がってこない。つまり、結果として超少子化が進んでいます。パートナーシップの在り方がヨーロッパとは違いますからね。ただ、日本も徐々に変わってくるのではないでしょうか。
(※補足:少子化は、ヨーロッパの主要諸国を含め、先進国ではどの国も経験しています。ただし、そのなかでも比較的緩やかな推移を保つ社会(=緩少子化)と、日本や韓国などのように著しく少子化が進む(=超少子化)社会との違いがあります。)

―― 最近は「パートナーシップ制度」が活発ですよね。各自治体だけで実施されているのも不思議な感じがしますが、パートナーのあり方などが変わりつつあるってことですね。

大森

そうですね。徐々に変わりつつあると思います。
ただ、選択的夫婦別姓が法的に認められるようになるのは、今のところまだまだ厳しいなと感じています。実際、私も通称で日々生活しているのですが、不思議がられることが多いですし、「強いね」って言われてしまうので。

――やっとスタートラインに立ったばかりかもしれませんね。

Text/AM編集部

大森美佐(おおもり・みさ)
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科博士後期課程修了, 博士(社会科学)