非行少女から支援側に
ミスiDを受けた理由
――ミスiDに応募したきっかけは?
Twitterで面白いなと思っていた人が、ミスiD出身だったので応募しました。オーディションの温度感も、私にとってはお手軽さみたいなのがすごい楽で。受かったら事務所と契約する、というわけでもないし。だったらこれ出て、ちょっと結果残してみてもいいかなくらいに思ってました。
――最終審査で少年院出身だということを告白したとき、審査員はどんな反応だったんですか。
女性審査員の方は引いてましたね。笑顔が消えて、口をポカーンとさせている方もいました。ゲラゲラ笑ってたのは、吉田豪さんとか(笑)。
――反応、分かれたんですね。
もともと「施設」にいたということだけ伝えていたんですけど。少年院ってことは内緒にして、児童養護施設ってことにしようって思ってたんです。少年院ってなると、超重いじゃないですか。でも言っちゃいました。それで同情をひきたいわけではないから、ラフに明るく話すようにしています。
――公表後、ファンや周囲はどう変わりましたか?
私はもうそういうキャラを隠さずにいるのに、アイドル時代からのファンには、私が過激なことを言うと病んじゃう人もいます。それは本当にやりづらいですね……もうファン辞めちまえよ! って思いますね(笑)。
――ポジティブな面では?
経歴を公表してからはインタビューの依頼が増えたし、協力してくれる企業がいて、それでNPOをする話になってて…子ども食堂みたいな。あとは、少年院で生活してみて、少年院の先生(法務教官)って凄くいいな! と思ったんです。でも、非行少女や、虐待を受けている子の力になりたいなら、勉強して法務教官になるよりも、自分自身の影響力をつけたほうが手っ取り早いんじゃないかと思って。
――その想いが、ミスiDに繋がったんですね。
本当は少年院のことを最後まで言わなくてもよかったんです。応募時点でTwitterのフォロワーが2万人いたし、実際にファイナルまで進んでたので。このまま言わなくてもいいかなと思ったけど、支援活動をするなら、もっと協力者を募ろうと思ったんです。私も虐待を受けていたので、その時の経験から……。協力してくれる人が現れてくれたから、少年院出身って言ってよかったと思います。
――非行少女から、支援側に。
少年院に入ると、娯楽が勉強と読書しかないんです。授業で、犯した罪や家族について振り返る作文を書くのが本当に辛い時間だったんですね。現実逃避で、図書室にある本は全部読んだし、高卒認定資格も取得しました。経験ももちろんありますけど、もはやこの時期に読んだ本が全てなんじゃないかというくらい、受けた影響は大きいです。