寂しそうな顔って、どこで見せるんだ?

まろんと同じように郵便ポスト前で憂いた表情をしてみたいところではありますが、あいにく私はド田舎出身。
付いてきてくれる幼馴染も見当たらず、寂しいフェイスを見てくれるのは畑のおっちゃんしかいない。

そこで仕方なく、クラスの中で「寂しいフェイス」をアピールすることにしました。
「はぁ。頑張ったのにこんなテストの点しか取れなかった。寂しい
「漫画の最新刊発売が延期になっちゃった。寂しい

「何が寂しいじゃ!!テスト勉強しろ!漫画は予約しておけこのボケナス!!」と当時の自分を殴りたい気持ちで一杯ですが、とにかく寂しいアピールさえすれば何とかなると思っていました。

「だって、運命だから」でクラスの面白キャラに

さて、『神風怪盗ジャンヌ』では前世からの運命に導かれ、ノインという最高のイケメンにもめぐり合います。
ここで現実と漫画を混同する私。
運命だからと信じていれば、い、いつか本当に私も前世の人に出会えるのでは……!?!?

それからは学校でも「運命だから」というフレーズを活用していました。
「プールが雨で中止なのも、運命だから
「制服が今年からダサチェンジしたのも運命だから

運命じゃ、ないわーーー!!!!

修学旅行で「こいつ何でも運命って言ってるんだぜ。めっちゃウケる」と弄られたのを期にぱったりとなりを潜めた私の「寂しい」と「運命だから」ではありますが、いかんせん頻繁に言い過ぎていたため、学芸会の映像などでもしっかり残っております。
ああこの記録、同級生の家へ一軒一軒周って燃やしたい。
少女マンガから学んだことを実践しちゃダメ、ゼッタイ。

そうそう、数年後に『神風怪盗ジャンヌ』を調べたら、当のドメンヘラこと日下部まろんちゃんは24歳で結婚しておりました。
こいつが24歳で結婚できたというのに、アラサーの私ときたら……。

おそまつ!

Text/トイアンナ

初出:2016.05.20