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CASE:2 温もりを分けあうように
重ねる肌と、朝食のパン

20代中盤に差し掛かるころ、同い年の犬顔男子といい雰囲気になって、彼の家で遊ぶという関係を3ヶ月ほど続けていました。

はじめて食事を共にしたのは、彼の住む大岡山のボロアパートから徒歩5分ほどにある安中華料理屋。
ふたりでギョーザと炒飯なんかを突っつきながら、ほのぼのした時間を過ごしていました。
また、彼の家に行くときは必ず、わたしがともだちの勤めるベーカリーでパンを買い、冬の明け方目覚めると、ふたりで寒いキッチンでパンをトースターで温めて、分け合いながら食べては、彼のパソコンでお互いの好きな音楽を流し合って、ネットでお互いの好きなものを見せっこして。

彼とのセックスは、絶頂に果てることが目的ではなく、体温を感じ合うことに重点が置かれていました。
無言で身体を重ねたり、ときおり会話をして笑ったり、わたしが身体の悩みを話すと何も言わずに聞いてくれては頭をなでてくれたり、いつの間にか寝ていたり。

ああああああああ!!!!!!!! 自分で書いててもかゆくなりそう!
付き合うことはなかったものの、今思えばラフだけどラブいムード満点、欲望より情愛の方が強い関係を築いていたんだと思います。

CASE:3 食べ物がつなぐ関係の背景に
そびえ立つのは「セックスレス」

あともうひとり、わたしの人生で唯一付き合った、少し年長の男性との関係について。

彼とはお互い一目惚れで、出会ったその夜のうちに前戯まで進むものの、そこからはセックスレスな恋愛関係が1年以上続くという異常事態。現在『あまちゃん』が一大ブームとなっている宮藤官九郎ドラマの隠れた傑作『マンハッタンラブストーリー』(2003年 TBS)で、尾美としのりさん演じるイボリー が、「30過ぎたらチューと交尾は一回にまとめろよ!」という名言を残しています。が、彼はEDだったのです。

その代わりと言うと変ですが、会うときは決まって、旨いものが大好きな彼のチョイスで、いろんなお店に行きました。
出たあとに「大したことなかったね」と苦笑まじりに話した個室系の海鮮居酒屋。
えらぶった雰囲気もなく、おばあちゃんと呼びたくなる素朴な女将さんがいつもおすすめしてくれる高級寿司屋。
夜景がきれいな高級レストランとかではなく、雑多な雰囲気の家庭料理居酒屋や力のみなぎりそうなソウルフードを、お互い自然体で、変に気遣うことなく食べることを楽しみ合う関係でした。

新宿歌舞伎町の裏路地にある、とある小汚い中華料理屋で、紹興酒漬けのエビの踊り食いをむさぼるようにバリバリ噛み砕いていたところ、ニヤニヤと眺められ、「野性的だね」と言い放たれたときはとても恥ずかしかったです。

思えば、はじめての夜のなまめかしい手指の動きや、ちょうどよく湿った唇の感触は、性的に不能だからこそ食への欲望をエロスに転化していたのかもしれません。

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