今回は、小説家・コラムニストの中村うさぎさんに、ご自身の体験を踏まえて、「依存と甘え」についてのお話を伺いました。
第一回は、「甘え」とは一体どんなことかを解き明かしていただいています。
うまく甘えられない優等生タイプのあなた、ぜひ読んでみてください。
甘えるからって別にモテる訳じゃない
甘えはテクニックではなく気心が知れているかどうか
―男性には甘えた方がモテるとはいいますが、甘えられない女性の方が多いと思います。
一体甘えとはなんだと思いますか? 媚びとはどう違いますか?
中村うさぎさん(以下敬称略):そもそも、媚びは相手に気に入られるためで、甘えは自分の都合を相手に受け入れてもらおうとすること。
だから、その二つはまず目的が全然違いますね。
甘えは、心が通じ合っていることを前提として、初めて成立するんですよ。
その「通じ合ってるよね」という確認がとれないまま甘えると、ただの図々しい人になってしまいますよね。
男女間だけではなく、職場でも、自分では気心が知れているつもりの相手に「この仕事代わりにお願い」って頼んだら、実は向こうは全然そう思っていなくて「あの人図々しい」と影で言われてしまうとか。
結局甘えを受け入れてもらえるかどうかというのは、「私とあなたの間に垣根はない」と思い合えているかが一番の課題だと思うんです。
だから、甘えをテクニックとして使おうとするのはものすごく難しいと思います。
甘えるのが下手な人は、その距離感が不安なんですよ。
だから、「こんなこと言ったら図々しいと思われちゃうんじゃないか」とか、あらゆる遠慮が発生して、甘えることがものすごく苦痛になってくる。
相手が自分と気心が知れている、または気心が知れた関係になりたいと思っている場合のみ甘えられるんです。
だから、甘えたほうがモテるとは一概に言えないんじゃないかな。
己を知らずに甘えるとただの図々しい人になってしまうだろうし。