恋が死んだら、相手も死んだと思え               

恋愛で、連戦連敗を喫している私ですが、敗残兵だからこそわかることがあります。
それは、恋愛の力関係は、それを受け入れている間は決して変わらないのだということです。
「振られた」という状況で失恋した場合、相手はどんなにいい人であっても、あなたのことを上には見ていません。
そこから復縁を求めるならば、あなたの地位が彼の中で向上しなければ、彼にとってあなたが「手に入れたい人」になることはないのです。

そうなるにはどうすればいいか。
彼のことばかり考えて、彼だけを希望にすがりついている状態から脱することしかありません。
彼の名前を聞いても「あーそんな人いたっけ」ぐらいになるほど、彼なしで幸せで楽しい人間になって、彼の影響下から逃れ、彼との恋愛での上下関係をいったん破棄することです。

「私にあんなひどいことしといて、あいつなんでのうのうと生きてんの!?」みたいな、復讐心爆発の場合も同じです。
嫌いな人に何をされても、人は本質的には傷つきません。
「そんなに嫌われてたんだ」と思ったり、ムカついたり困ったりはするかもしれませんが、あなたが彼に傷つけられたのと同じようなダメージを与えることは決してできません。

私はそのような状態に陥ったとき、世の中ってひどいなぁ、と思いました。
あんな傷つけ放題に傷つけておいて、別に向こうはなーんも変わらない顔して、何の罰も受けずにいるなんて、と思いました。
手元にワラ人形があったら迷わず五寸釘を打ち込んでいたと思います。
でも、これは執着すればするほど負けるゲームなんです。ギャンブルと同じだと考えてください。
人情なんか通じない、そういうゲームだと。

恋が死んだときに、相手のことももう死んだことにするぐらいの気持ちで、忘れることです。
彼が憎いとか思っているうちは彼の影響力の下にいるのと同じです。
そこから逃れられなければ、あなたに勝ち目はありません。
彼の顔を見ても名前を見ても一切心が揺れず、道ばたに落ちてるアブラゼミの死骸ぐらいにどうでもいい存在になったとき、初めてあなたは彼より優位に立てるのです。

復讐をしたいのなら、忘れることです。
あなたが幸せになることだけが復讐だと信じ、五寸釘を打つエネルギーを自分の幸せのために使いましょう。

単なる勝ち負けじゃなく、気持ちがあるから恋愛はやっかいなのですが、気持ちは内側から生まれてくるだけではなく、状況によって揺り動かされるものでもあるのです。
相手の作った状況にはめられず、自分の側から状況を作り出せるようにならなければ、復縁も復讐もあり得ないのではないかと、私は思います。

 

Text/雨宮まみ

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プロフィール

雨宮まみ

雨宮まみ

ライター。九州生まれサブカル育ち。守備範囲は「セックス&自意識&女のあれこれ」。
赤裸々な半生を綴った『女子をこじらせて』(ポット出版)は全国のこじらせ女子に大きな影響を与える。
現在、「女子」を語らせたら、この人! という5人を迎えての対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)が絶賛発売中。

ツイッター:@mamiamamiya