飢えている世の中では愛のパスはまわらない(5)/二村ヒトシ×大泉りか

AV監督でありながら、『恋とセックスで幸せになる秘密』、『すべてはモテるためである』などの恋愛書の著作を持つ二村ヒトシさん。女性が積極的なアダルトビデオの先駆者であり、撮影現場で多くの女優の性を見つめてきた氏に今回の特集「セックスセンス」について語っていただきました。
第1回「セックスと恋の呪いにかかった女たち」第2回「セックスを餌にしても幸せにはなれない」第3回「恋愛とセックスが切り離せない理由」第4回「彼氏だとイケない女、彼女にはこんなことしないという男」も合わせてお読みください。
(インタビュアー:大泉りか)

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“ヤラれたい”のは欲求不満のせい

大泉:確かに“支配されたい”という女性、多いです。女性向けの官能小説のパターンとして、だいたい男はイケメンの俺様。で、そのドSの彼にいろいろされるっていう。女の欲望として“ヤラれたい”という願望があるのではないかなって。

二村:それは欲求不満だからですよ。責めもらってないから。
よくハプニングバーとかで「僕はSなんです」とか言ってる男はだいたいダメな男なんですけど、でも、きちんとしたSになれば男はモテますよ。
それと同じで、男もみんなM。だから女もモテたかったら女王様になればいい。確実にモテます。
女王様とM男の関係って本当に健康的なんですよ。男が女王様に恋をしていて、女王様はM男たちに愛を与えている。
よくできる女王様には母性があるからね。

まぁ、この母性という話になると、また男と女の愛の綱引きになっちゃうんですよ。
「それを求めないでよ!」と言われてしまう。

大泉:女は母性の話については敏感ですからね。
目に見えないし、あるかないかもわからないものですから。

二村:そして、「日本の男はみんなマザコンよね」って怒り始めるんです。

大泉:でも、マザコンですよね。あっ、怒ってはないですよ(笑)。
本当にそう思ってるんで。もうこれは仕方のないものだって。

二村:そう、マザコンなんです。マザコンに決まっているじゃないですか。
でも、男が女に母性を求めると、なぜ怒る女の人がいるのか。
それは、「かわいがってほしいのは私のほう」だからです。「私だって母に飢えてるんだよ!」って。