セックスはそもそも何のためにするのか

大泉:そもそも、みんな、イってるんですかね。

二村:オナニーならイケるという女性が多くて、セックスでもイケる人は半分くらいじゃないですかね。
で、そのイケる女の人で「AVに出て初めてイっちゃった、やっぱ男優さんってすごい!」という先ほどの例ですが、それは違うんですよね。それは貴女が彼氏の前で緊張してるからイケないのであって、彼氏とのセックスでイケないのは、彼氏が下手だからじゃない。
彼氏に“自分の一番見せてはいけないと思っているところ”を見せられないからだと。

でも、それを見せるのがセックスだと思うんです。
一番、自分がカッコワルイと思っているところを見せあう行為。イクとかイかないとか、そんなことが目的ではない。

大泉:イクことがセックスの目的ではないとしたら何がセックスの目的なのか、というと。

二村:それは、僕の中では答えが出ています。
セックスの目的は「相手が私にしてくれた行為で私が気持ちよくなった、そのことが相手に伝わること」そして「私に愛撫されたり、私の身体を味わうことで相手が気持ちよくなった、そのことが私に伝わること」つまり、コミュニケーションです。
「私の快感が相手に伝わった」「相手が喜んでいることが私に伝わった」これが無いんだったら、オナニーで充分なわけじゃないですか。
ところが、この男を逃したくないと思ってセックスしてる女の子は「相手は楽しんでくれてるかしら?」て心配ばかりしながら、本人は楽しくないのに無理してフェラチオしたり騎乗位したりしてる。そりゃあ、そんなセックスは楽しくないよね。

大泉:お互いに言葉足らずなんじゃないですかね。褒めあえばいいのに。
セックスじゃないんですが、友達が、旦那がご飯を作ってくれたら、とにかく褒めるって言ってて。たとえ、キャベツの芯に火が通ってなくても「すっごい美味しい!」って。褒めて煽てて、調子にのってもらって、とにかく一回でも多く食事を作ってもらうと(笑)。
それを聞いて以来、私もとにかく褒めるようにしています。
そうすると、男の人ってものすごく喜びますよね。で、結果、セックスは頑張ってくれるし、回数も増えて私は大満足、と。『北風と太陽』の寓話の奥深さをいまさら再認識しました。

二村:素晴らしいね。男のチンコは褒めたほうがいい。

大泉:でも、褒めすぎてたまに調子に乗せすぎちゃうことも。「本当にいいチンコだ!」って毎日褒めていたら逆に「俺のチンコさぁ、どう?」とか聞いてくるようになって、面倒になって「うん、普通にいいよ!」って適当に返したら「えっ、普通に……平均? どういうこと?」って途端にしょんぼりしちゃって……。
その時に思ったのは、男の人って本当に言葉通り受け取るんだなってことで。

二村:男は基本的にバカですからね。「男ってバカなんだ」ってことを知って、それでも、そんな男をバカにせずに愛せる女性が、恋愛やセックスで幸せになれるんじゃないだろうか