AV監督でありながら、『恋とセックスで幸せになる秘密』、『すべてはモテるためである』などの恋愛書の著作を持つ二村ヒトシさん。女性が積極的なアダルトビデオの先駆者であり、撮影現場で多くの女優の性を見つめてきた氏に今回の特集「セックスセンス」について語っていただきました。
(インタビュアー:大泉りか)
セックスを“楽しまないといけない”という呪縛
二村ヒトシさん(以下、二村):実は僕は、女性向けメディアの「恋する女は美しい」と決めつける論調に批判的なんです。
自分を肯定できていない女性が恋に堕ちると、いっときは気持ちがアガるけど、やがて、ますます自己を肯定できなくなって、恋をすればするほど苦しくなっていきます。
また、そういう女性は逆に男性から恋をされると、その相手をナメてかかったり、怖がったりして、ちゃんと愛せない。「私なんかに恋するこの人は、わかってない!」と心のどこかで考えてしまうから。
でも、そういう人ほど自分が恋することで心の穴を埋めようとする。
AMもロゴでいきなり「恋は人生だ 誰かを好きでいる素晴らしさを」って謳っていますよね。「好きでいること」が「愛」だとしたらそれは素晴らしいんですが、「恋」だとしたら、それはロクなもんじゃないよ、そもそも「恋は人生だ」ってテーゼが多くの女性を惑わしてるんじゃね? って言わせていただきたくて今日はやってまいりました(笑)。
AM編集部(以下編集部):(苦笑)
二村:でも、女性向けのメディアは、そう書かないと仕方ないよね。読者の食いつきを考えると。
大泉りか(以下、大泉):女は恋することが大好きですから。だって、恋って楽しくないですか?
二村:楽しいですよ。そりゃあ、楽しい。でも、セックスの話でいうと、女が恋をしちゃっていて、一生懸命にセックスをするのはよくない。