いつまでもお互い下手くそのままでいいから

セックスで「おれ、上手い?」と聞かれることがある。「今日、下手くそだったよね……」と落ち込む姿を見ることもある。「フェラ上手いね!!」と褒められることもある。そのたびに、「え、そんなのどうでもいいのに!」と思う。上手いとか下手とかをけっこう深刻に気にしている男性は、想像以上に多い。

「男はかっこよくあるべき」「上手でなければ女から幻滅される」「男はセックスで女を気持ちよくしなくてはならない」みたいな言説が彼らを呪っているのだとしたら、むしろそういった説こそが私たちのセックスをパターン化し、つまらなくしていることに気づいてほしい。少なくとも私は、男のかっこわるいところが愛おしいし、うまくいかないほうがむしろ興奮するし、セックスは気持ちよくしてもらうためにするものではなく、お互いに気持ちよくなっていくものだと思っている。

だからワンパターンの男や計画的な男に変なタイミングでキスをして困らせるのが大好きだし、自分自身、上手とか下手とか意識せず、ただ目の前に好きな人の美しい鎖骨があったらキスをするとか、本当にそれだけの、ライブ感のあるセックスができたらいいなとめざしている。

恋やセックスの流れを相手に任せず、自分で情動のままにふるまい、ライブを演出できる人はきっとチャーミングだ。いつまでもお互いに下手くそでいいから、なりゆきに任せ、即興のセッションのように、一瞬一瞬を楽しみながら、ただケラケラ笑っていたい。

Text/雨あがりの少女