お花見しながら情事を楽しむ人々

磯田湖龍斎『風流十二季の栄花(ふうりゅうじゅうにきのえいが)』1773年 国際日本文化研究センター

もうひとつ、桜と言えば「お花見」ですよね~!
お花見中にムラムラいちゃいちゃの春画はいくつかございますが、この作品なんていかがでしょうか。『風流十二季の栄花(ふうりゅうじゅうにきのえいが)』のこの図は、幔幕(まんまく)を張ってその中で交わっていたら、そのうち勢い余って繋がったまま幔幕の囲いから飛び出して、通行人もびっくり! な場面です。

江戸期の都会の花見は、それぞれ花見グループごとに幔幕を張って陣取りをします。毛氈(もうせん)を地面に敷いてその中で歌ったり飲んだりして花見をしていました。現代のような前日からのブルーシート陣取りではなく、幔幕で囲えば周りも気にせず飲めや歌えで楽しめたでしょうね。

しかし幔幕で囲ったことを良いことに、オトコは狐の面をつけたまま交わりはじめてしまいます。毛氈に包まり勢いあまって幕の外に出てしまい、歩いていた娘に「おほ怖い、頼むからやめてよ。」と言われる始末。そりゃオンナと狐面のオトコがいきなり目の前に出てきて、しかも最中だったら腰を抜かすかもしれません。

今回は春と、その季節の人間の営みにフォーカスを当ててみました。待ち遠しかった温かい春とともにみなさんも春の食べ物や花などで、季節を噛みしめ味わいましょう。

〈参考文献〉「江戸の歳時風俗誌」株式会社展望社

Text/春画―ル