1ヶ月の中でセックスしてよい日はなんと3日間だけ!?

歌川国貞「風俗三国志(ふうぞくさんごくし)」(天保三年〈1832年〉)

先ほどの教訓書は江戸時代の初期から出版されているのですが、次に紹介する「男性狂訓 華のあり香」は元治元年(1864年)刊行で明治時代もすぐそこの幕末です。

この本は主に男性向けに書かれており、教訓書ではなく色道の指南書です。ここにも「年中房事の弁解(わきまえ)」と題して、セックスを避けるべき日が存在することを述べています。この避けるべき日は暦に加えて、かなり寒い日やかなり暑い日、虹が出た日など自分の力ではどうしようもない自然現象にも左右されるうえに、生理中と生理前後2日間も避けるべきとされており、これを全部守ると、なんとセックスができる日はなんと1ヶ月のうちでなんと3回程度(笑)。

このように避けるべき日の存在を示しながらも、全ての決まりを守り交合する日を制限すると、かえって身体に毒であるとも書かれており、この本が出版された幕末頃にはすでにこのような決まり事を守る人も少なくなっていったようです。江戸時代には暦や天候に加え、季節ごとに交合の回数までもコントロールするべきという考えがあり、冬はなんと1回もセックスをしてはいけないとされていましたが、この考えも時代とともに廃れ、幕末頃にはその決まりの存在すら知らない人もいたようです。
いくら災いが起こると言われても性の本能には勝てません。
インフルエンサーに「オナ禁ってしたほうが身体に良いですか?」という質問をしている場面を本当によく見かけるのですが、そもそも近世にはなかった考えだと思います。
わたしたちはしたいときに、すればよいのです。
しかし神社仏閣や公共のトイレなどは絶対に避けましょうね。

Text/春画―ル