「姫飯(ひめいい)食べ始める日」説が有力?

屠蘇機嫌三人生酔 歌川国芳(一勇斎)画 国立国会図書館デジタルコレクション

『現代こよみ読み解き事典』によると、「姫始め」は一月二日の行事ですが、その由来については「姫飯(ひめいい)を食べ始める日」説が最も有力ではないかと記述されています。めでたい日に”御強(おこわ)”を食べる文化は現代でもありますが、祭りの間に御強(おこわ)を食べ、祭りが終わると姫飯(ひめいい)、つまり“やわらかく炊いた飯”を食べるという文化もあるようです。

その姫飯(ひめいい)を食べ始める日が一月二日であり、「姫始め」となったのではということです。ちなみに一月一日には、お雑煮や屠蘇(とそ)などをいただきますね。
参考として、上記「屠蘇機嫌三人生酔」の浮世絵をご覧ください。

そのほかにも、江戸時代の乗馬初めが一月二日であったことから「飛馬(ひめ)始め」説や、水や火を使い始める日が二日なので「火水(ひめ)始め」説など、説はたくさんあるのです。

「どの説にせよ、そもそもなんで『姫始め』一日じゃなくて二日なの?」と疑問を抱くかたもいると思うのですが、二日は「事始」とも言われ、一年の活動はこの日からはじまっていたのです。

葛飾北斎「つひの雛形」1812年

余談ですが、元治元年刊行の『男女狂訓 華のあり香』に十二か月ごとの交合で美快を極める方法が書かれているのですが、正月の項を読んでみました。

正月は早起きをするため、人々は昼間に眠たくなります。そんな世間がウトウトして静かな昼過ぎの交合がオススメのようです。酒を飲んでほろ酔い気分で帰宅したら、コタツでうたた寝している相手にすり寄ります。コタツでほかほかになったパートナーと交合をしながら手元の春画を見て様々な体位を試してみる、そのようなことが書かれていました。
そんな贅沢に時間を使えるのが正月の交合の楽しみのようです。

このコラムが公開されるのは一月三日ですから、多くの方はおうちでゆっくり過ごされているのではないでしょうか。一月二日も過ぎたことですし、さあ「事始め」!
やりたいことに挑戦していける一年でありたいものです。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

〈参考文献〉
「現代こよみ読み解き事典」岡田芳朗・阿久根末忠 柏書房株式会社

Text/春画―ル