オンナのあそこはどんな味?食べたら長生きできる?

歌川豊国《逢夜雁之声(おおよがりのこえ)》1822年

自分の性器から出る体液を舐めたことあります?

《逢夜雁之声(おおよがりのこえ)》の中で男性が、「馬鹿らしい、七回もしたその後でこのように性器を舐めることは普通はしないぞ。(それくらい君のことが好きなんだ)これでヤキモチもやめてくれ。しかし女性器というのは酸っぱいような塩辛いような生臭いような変なものだ」と言っている場面があり、やはり女性のアソコって昔から塩辛かったんだ~!と変な感心をしてしまったことがある。

愛液が塩辛いといえば、性指南書の『男女狂訓 華のあり香』(1862年)にシックスナインの方法が掲載されている。

おえたる茎(勃起したペニス)を顔に付け、男は開(ぼぼ。女性器のこと)を舐め廻し、核(さね。クリトリスのこと)を舌にてしごくようにすれば、いつしか女はうつつになりて、塩からき吐淫を流し、我を忘れて気をやるなり。

と古典書にも記載されていることから、愛液が塩辛いものだと確信した。今度実際にパートナーに味も聞いてみよう。

磯田湖龍斎《笑翔/色物馬鹿本草(しょうしょう/しょくもつばかほんぞう)》1778年

しかし塩辛いかと思いきや、「甘くて美味しい♡」と美味しそうに舐める場面もある。

男性は「これはうまし、甘露、甘露」と舐めているのですが、甘いものは当時貴重だったのでご馳走のように美味しいと言いたいのだろう。しかし、画中の性器を舐められている女性はだいたい恥ずかしそうにしており、実際に自分の性器を舐められることに抵抗があった女性は多かったのかもしれない。

勝川春章《會本可男女怡思(えほんかなめいし)》1782年

正直なところ、体液が塩辛くても甘くてもどちらでも構わないのだが、女性の性器から出る体液は古来より不老長寿の薬として重宝されていたなんてはなしもある。

「古代中国では、愛液を酒と混ぜて飲むと不老長寿や精力増強に効くとされていた」と記された春画の本をいくつか読んだことがあるのだが、肝心の大元となる中国由来の書物やそれにまつわる文献が見つからない。

しかし器に愛液を貯めている春画はたしかに存在し、画中の男性の骨格や服装が外国風に描かれていることから、当時の絵師たちも「海外では女性の愛液を薬として飲む」という風習をイメージで描いたのかもしれない。

西川祐信《艶色華靨(えんしょくはなえくぼ)》1720年

江戸時代の医学的迷信はきりがなく、食べるだけでなく体に塗るものもある。なんと子どもの腫れものに父母交合の精水を塗ると薬になるというのだ。

男女の和合は万物を創造する重要なものであり、ときにそこには力が宿るという思想は古来より確かに存在した。しかしながら、日本は古来よりセックスに意味づけを行い、そこに価値を置いていたことは忘れられつつある歴史の断片となってしまった。

《参考文献》
白倉敬彦「春画の色恋」
笹間良彦「好色艶語辞典」
Timothy Clark “Shunga sex and pleasure in Japanese art”

Text/春画―ル