わたしは汚れてしまった…次第に壊れていくヒロインの行方は?

 映画のヒロイン役をちらつかせされ、ヒットメーカーとして名高い敏腕プロデューサーの片山に抱かれる沙希。

 そう、女が『セクシー』を使った表現をしたい場合、その舞台を提供するのは、だいたいが『オヤジ』。そして、そういった立場にいる『オヤジ』という無邪気かつ無神経な生き物の多くは、「自分がまだまだモテる」と勘違いしている。もしくは「男として恋愛の対象にはならずとも、自分は彼女たちに、別の素晴らしいものを与えることができるのだから、いいではないか」と自らを正当化し、隙あらば若い娘の身体を狙っていると相場は決まっています。
冗談じゃないですよ。あたしだって、うら若い頃は、某出版社のおじさん編集者にオナニーを見せられたりしましたから。欲ある女には欲あるオヤジがたかってくる。これは事実なんです。

 そんな魔界に住み続けるには、自分の才能を信じて光だけを見続けていなければいけないのに、沙希は‟人脈“という蜜が欲しいがために、あっという間にダークサイド(枕接待)へと落ちてしまいます。

 むろん、人脈を持つ者と若さを持つ者、双方のメリットが合致する場合もあり、オヤジを使ってのし上がっていく『ビッチ』ならば問題はない。けれども、『ビッチ(この場合のビッチは、日本で使われている性に軽薄な女ではなく、どちらかといえば性悪な女、という意味で使っています)』であることは、『依存しない』『裏切られても傷つかない』『男に感情移入しない』などの精神のマッチョさ、タフさが相当量、必要とされます。
ようするに何が言いたいか、というとマッチョさが足りない女が『ビッチ』に足を突っ込もうとすると、「こんなことまでして……」「本当のわたしはこうじゃないのに……」「わたしは汚れてしまった……」というふうに、精神のバランスを崩す、ということです。

 案の定、次第に壊れていく沙希。その先に救いはあるのか。芸能界の裏の闇を知った沙希が取った行動は……本書でお楽しみください!

キレイになりたくて 小阪由佳 双葉社刊 大泉りか 官能小説 芸能界 カメラマン グラビア アイドル グラドル ヒロイン

キレイになりたくて
著:小阪由佳
双葉社刊

Text/大泉りか

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