エロへの執念を感じる秘宝館での淫靡な体験/『むつごと秘宝館』(後編)

4Pに耽る豊臣秀吉などのウイットの利いたエロマネキンたちはどこへ行くのか

大泉りか 官能小説 Leigh Harries

すっかり定番化したサブカル趣味のひとつ、B級スポット訪問
その代表的巡礼地といえば、なんといっても秘宝館です。

かつては昭和を代表したエロスポットも、時代の流れとともに廃れゆき、性交に励む仕掛けマネキンたちを観ることができる秘宝館の、現存する二館のうちのひとつであった鬼怒川秘宝殿が2014年末をもってついに閉館に。

4Pに耽る豊臣秀吉や、出征前夜に妻とまぐわいを交わす武士といったウイットの利いたエロマネキンたちは、処分されてしまうのか、それともどこか然るべき施設に貰い受けられて、再び好事家たちの熱い視線を受けることとなるのか、どちらにしても、何かが終わる瞬間というのはいつも切ない。

そういえば、奇しくも、ちょうどつい先日、コメントを寄せた某週刊誌の企画タイトルも、『廃れゆく[伝統のエロ産業]を行く』でした。
テレクラ、ブルセラ、ストリップ。どれも携わったことのあるエロ産業ばかりであることが余計に悲しい……というか、わたしもまた、廃れ行く伝統のエロ産業従事者のひとりだと思うと、不安な気持ちにならざるを得ません――が、このままだと、どんどんと話が暗い方向に進んでいきそうなので、ここらで、前編に引き続き、小玉ニ三・著『むつごと秘宝館』(竹書房ロマンス文庫)をご紹介したいと思います。