嘘か誠か?外見とアソコの関係性
わたしのコラムを読んでくださっている方ならばお馴染み、渓斎英泉の《閨中紀聞/枕文庫》にも性器と身体に関する興味深い記述がある。
その中の「陽茎陰戸之傳(まらぼぼのでん)」は男根と身体の関連性について書かれているのだが、一部を抜粋すると、
頬より頤(あご)をとりまきて首筋は男根にあたる。(省略)首筋ふときは男根がふとし。
(省略)首筋に黒子あればへのこに黒子あり。色情強き人は気集まりて陰(へのこ)にほくろ生す。
要約すると「頬からあご周りや首は男根と強く関連性があり、首が太いと男根が太い。首にホクロがあれば同じように男根にホクロがある。性欲が強い人は男根に性欲のエネルギーが集まり、男根にホクロができる」とのことだ。
この首と男根の関係にどれほどの根拠があるのかわからないが、《閨中紀聞/枕文庫》の「引用之書目」(※参考文献)を見ると、多くの出版物を引用したことがわかる。英泉が思いつきで記述したのではなく、今まで伝えられてきた現象として書かれた内容であれば遠からず当たっているのかもしれない。
わたし自身はこの“身体と性器の関係性”に半信半疑だったのだが以前、わたしが不定期で開催している春画バーに来てくれた方から興味深い話を聞くことができた。彼女曰く、
「やっぱり好みの男性を見つけて、しかも裸を見ずに、ある程度相手がどんなおちんちんを持っているのか知りたいじゃないですか。ベッドインして『このひとじゃなかった!』ってお互いに感じるの嫌だもの(笑)。 だからま先ず、わたしは相手の匂いをが心地よいと感じるものかで相性を判断します。
次に相手の性器なんですが、わたしが経験した限りでは相手の首の太さや長さが男性器と関連あると思うんです! 親指とか鼻とかも男性器の大きさに関係あると聞くんですが、経験した限りだと首だと思うんですよね~~~」
なるほど首か。たしかにわたしのパートナーの首は顔の大きさに対して太いな……と、バーのカウンターに立ちながら彼の性器を思い出していた。彼は特に激しい筋トレや運動をしていたわけではないのでナチュラルに首が太いのだ。そして、彼の竿の直径は「TENGA」で有名な典雅株式会社様が調査した「日本人の竿の直径のデータ」と比較すると、大多数の直径よりも太かった。
日本古来から「性が喜びである」という考えがベースにあったので、交わることは楽しみのひとつであった。そのためこのような性器についての情報が重宝され、娯楽やジンクスとして楽しんでいたのだろう。
文献ごとに微妙に異なるのだが、江戸時代で言われていた素晴らしいおちんちんは「男根の色が黒色である」「膣の形状でしなやかにフィットする麩のようなマラ」などと記載されていることが多い。意外にも、巨根であることや直径が太いことはあまり重要ではないようだ。
こんな話をしていると、「わたしはこういうおちんちんが好き!」などの座談がはじまるから楽しい。そういえば、「あの人はいつも何かにつけて強気なのだが、よほど大きなモノを持っているに違いない。これを『根拠のない巨根』と言う」とテレビでコメンテーターが言っていたのをふと思い出した。それくらい性器は人相や性格まで左右するパワーを持っていると考えている方が多いのかもしれない。
ま、大きかろうが小さかろうが、包茎であろうが好きなひとのものならなんだって愛着湧くのですけどね。
Text/春画―ル
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