日本を代表する監督陣を迎えた「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」。 前回に引き続き、日活のみなさんに、その豪華プロジェクトの概要と、過去のロマンポルノのオススメ作品について、お話をうかがいました。
映画への情熱がロマンポルノを生んだ
――みなさんは、どういったいきさつで今回のロマンポルノ・リブート・プロジェクトに関わることになったんですか?
西尾:私は、『クロユリ団地』『劇場霊』などで中田秀夫監督の作品を担当していたんです。中田監督は日活でロマンポルノの助監督をしていた経歴があり、あと少しで監督として作品が撮れるっていうときにロマンポルノの製作が終わってしまったため、ロマンポルノに思い入れがあるんですね。ですから今回監督をしていただけることなって、私も引っ張られて……みたいな感じです。
高木: 私は、もともとロマンポルノが好きで日活に入社したんですよ。日活創立100周年として「生きつづけるロマンポルノ」という特集上映を担当して、このプロジェクトでもロマンポルノのクラシック作品の上映があるので、関わっています。
滝口:高木は、すごくロマンポルノに詳しいんですよ。
――ロマンポルノの魅力ってなんですか?
高木:エネルギッシュでアナーキーな雰囲気を感じるので、70年代という時代が好きなんです。その時代に生まれたロマンポルノって、画面に作り手の情熱が満ち溢れてる。観てるとその熱が伝わってきてテンションがあがるんです。最初にロマンポルノに触れたのは大学生のとき。ぴあフィルムフェスティバルでのロマンポルノの上映や、池袋の文芸坐でオールナイト上映を観たりしてたんですけど、ハマるにつれて名作以外の作品まで観たくなってきて。情報誌ぴあで調べて郊外の成人映画館まで観に行くこともありましたね。
――成人映画館にまで入っちゃうって、けっこうなハマりっぷりですよね(笑)。ちなみに、高木さんをそこまでハマらせた作品って何なんですか。
高木:『天使のはらわた 赤い淫画』っていう作品です。劇画家で監督もされている石井隆さんが脚本を書いています。男性にこの作品が好きでたまらないって言うと「それは異常だ、あれは男の映画だよ」って言うんですよね(笑)。
名美というファム・ファタール(運命の女)と、彼女を追い求める村木という男が主人公の、石井隆さんの人気シリーズの一本ですが、「女の君に、それがわかるの?」って。
でも私は、理屈じゃなく映画の圧倒的な熱量にやられてしまった。
今の映画って、クールでスマートじゃないですか。でもロマンポルノの時代って、みんな不器用で、それを取り繕ってない。そういうところがいいなと。まあ、最初に入口として観るのはどうかなって感じの作品なんですけどね。
――熱い! そう聞くとすごく観たくなります。
- 1
- 2