幻冬舎×AMが特別コラボ!危険な官能小説をお届けします。
第1回 ミステリアスな滞在者
第2回 危険な香りに誘われて
第3回 欲望の部屋へようこそ
第4回 驚愕の体験
第5回 予想外の客
第6回 たとえ邪険にされても……
【あらすじ】
夫との南の島への旅行で彩夏は同じホテルに滞在する駿に出会う。ミステリアスな駿に惹かれた彩夏は、彼の部屋を訪れるが、両手を縛られ屈辱的なプレイを受けてしまう。ちゃんと抱いて欲しいと願う彩夏は再び駿の部屋を訪れたが、彼に促されるまま、知らない女性と一緒に3人でプレイをさせられ、再び手を縛られて屈辱的な仕打ちを受けてしまうのだった。
第7回 見えない、動けない、逆らえない
翌日の午前中、彩夏は体調が良くないということで海には行かず、ひとりで部屋にとどまった。何をする気にもなれずベッドで横になっていると、ドアがノックされた。ドアスコープを覗くと、花束を持った従業員が立っていた。
「グッモーニン」と言って微笑みかけてきたのはロイだった。
花は駿からの贈り物で、ロイは活けるための花瓶まで用意してきていた。
ありがとう、と言ってチップを渡すと、ロイは無表情のまま両手を合わせ去って行った。
南国らしい白や紫の蘭を中心に作られていて、とてもセンスがよかった。香りもいい。
それにしても一体どういう風の吹き回しだろう。ゆうべの駿はかなり高圧的な態度で口調も激しく彩夏をさんざん蔑んだ。それなのに一夜明けて急に態度を軟化するとは、多少の反省があったのか。それともいわゆるアメと鞭で彩夏の機嫌をとるつもりなのか。まったく彼の真意がわからない。
とりあえずお礼のメールを送った。こういう時、自分から連絡するから足下を見られるのだな、とわかっていても彼に接触せずにはいられない彩夏だった。
するとすぐに返信があった。ひとりで暇なのでヴィラに来ないか、ということだった。もちろん彩夏はいそいそと出かけていった。残り少ないヴァカンスの日々、あと何回駿に会えるかわからないと思うと、もったいぶったりしてはいられなかった。
「やあ、来てくれたんだね」
駿は最初に会った時と同様、感じのいい笑みを浮かべて言った。きょうはシルクのような光沢のある生地のガウンをはおっていた。彩夏もすぐに脱着できるサマードレス姿で、きょうはブラも着けていない。
「さあ、こっちへ」
いきなりベッドルームに案内された。相変わらず遮光カーテンがぴっちりと引かれているので真っ暗だが、ベッドサイドのあかりだけ灯っていた。
「きょうも奥さまはお留守なの?」
「僕とはいっしょにいたくないみたいなんだ。彼氏でもできたんだろう」
「それでも平気なのね」
「こっちもいろいろ好きにしているからね」
「ここにはいつまで?」
「来週半ばぐらいには引き上げるつもりだよ。そろそろ仕事に戻らないと」
話の断片から、駿の仕事は株取引の関係のようだが詳しくは知らない。オフィスでばりばり働くというより、ひとりでコンピュータ数台を相手に数字やグラフと格闘している姿が思い浮かんだ。金回りはよさそうだ。
駿と彩夏は抱き合ったままベッドの上に倒れこんだ。彼の手がサマードレスの下に入りこみ、剥き出しの乳房をさかんにまさぐっていく。
「テレサは来た?」
「けさ早く忍びこんできたよ。いきなりベッドに入ってきて、僕の上にのっかった。10分ぐらいで事をすませて、また帰って行ったけど」
「大胆ね。私もしちゃおうかな」
「だめだめ。君は旦那に抱かれていなさい」
「夫とするのなんかもうウンザリよ」
「悪い奥さんだな。こらしめてやる」
駿はあっという間に彩夏を裸に剝いてしまうと、ベッドの横にあった肘掛け椅子に座らせた。何をされるのか多少の不安はあるが、好奇心の方が遙かに勝っている彩夏は、ただされるがままになっていた。
彼の妻のものなのか、彼は薄いスカーフを取り出して細く畳み、彩夏に目隠しをした。
「……何も見えないわ」
「ぞくぞくするだろう」
すると両脚が大きく割られ、椅子の肘掛け部分に左右片方ずつのせられた。当然局部はぱっくりと口を開けた状態になった。
「いやだ、恥ずかしい……」
「今さら何言ってんだ。さんざん恥ずかしいことしてきたくせに。お前だって喜んでたじゃないか」
また彼の口調が乱暴になった。彩夏を虐めるモードにスイッチが入ったのだ。
「やらしいことされたくて、のこのこやって来たんだろ。もう濡れてんだろうな」
彼は彩夏の脚と手首をまとめて肘掛けに括りつけた。細いヒモのような物を使っているようで、簡単にはほどけそうもなかった。左右別々に縛りつけられ、椅子からは立ち上がることも股を閉じることもできない。
「いやよ、こんな格好」
「興奮するだろ。アソコが丸見えだ。今、いいことしてやるから」
「何をするの?」
近くでモーター音のようなものが低く唸っているのが聞こえた。目隠しをされていることが、こんなにも不安と怖れを煽るとは予想もしていなかった。
いきなり花びらに固い何かが触れた。冷たいしおまけに振動しているので彼のモノではない。ぐぐっと内部に押しこまれた。
「いやっ、何か入ってく……これ何?」
「ピンク色した可愛いヤツだよ。ローターだ。気持ちよくなるぞ」
駿は巧みな手つきで震える小さなモノを彩夏の中にじわじわと挿入していった。
「そんなに怖がるなよ。体の力を抜けばもっと楽に入るし感じるから。バイブとか、使ったことないのか?」
彩夏は勢いよく頭を振った。夫婦間のセックスでそんな小道具など一度も用いたことはない。
「あっ、あああ……」
「小型だから全部中に入ったぞ。気持ちいいか?」
「変な、感じがする。取って、取ってよ」
彩夏はいまだ経験したことのない刺激に混乱していた。体の奥から痺れる感覚で、頭のてっぺんからつま先まで弱い電流が走っているようだ。
「ていうかもう取れないんだ。ローターはお前のアソコの奥に入りこんでるから。外からも見えないし。リモコンは俺が持ってる」
「お願い、早く取り出してよ。せめてスイッチを切って」
「出したきゃ、自分で押し出すんだな、踏んばって。まあ、じっくり楽しめよ」
駿の声が遠のき、ドアがばたんと閉まる音が響いた。
彩夏はまた部屋にひとり放置されてしまった。
Text/真野朋子
幻冬舎×AM特別ページ