女性向け「擬似恋愛屋」が少ないワケ

 それにしても世の中には、メイド喫茶やキャバクラや各種風俗店など、男性が女性と「疑似恋愛」できる店がいっぱいあります。対して、女性が男性と疑似恋愛できる店は、ホストクラブやレンタル彼氏など……ないわけじゃないけど、ごく少数。これってよく考えたら不思議ですよね。だって女性のほうが恋愛体質なのですよ。だったら、女性向けの「疑似恋愛屋さん」のほうが多くなるはずなのに……矛盾していることになりますよね。

 女性向けの疑似恋愛屋さんが少ない一方で、むしろこの世に溢れかえっているのが、「化粧品屋さん」や「洋服屋さん」「アクセサリー屋さん」など、女性性に磨きをかけるためのお店です。それらは、恋愛するうえでは必要なアイテムですが、ぶっちゃけ恋愛に直結しているわけではありません。そんなふうに考えると、我々女性って「過程」を味わう生き物なのでしょうね。ホストクラブやレンタル彼氏などの疑似恋愛屋さんは、確かに手っ取り早い! でもそうじゃなくて、メイクやファッションやジュエリーでオンナっぷりを磨きつつ恋愛に到達するのが楽しいのでしょう。

 対して大半の男性には、「過程」を楽しむ初期設定は組み込まれていないのでしょう。メイド喫茶やキャバクラや各種風俗店へ駆け込んだほうが、即・満たされるわけですから。そういえば、牛丼屋や立ち食い蕎麦屋など、待たせない店は男性客が多いです。女性が喜んで行列を作るようなパンケーキ屋やディ○ニーランドは、案の定男性客って少ないですからね。

 以上を踏まえると、男性は「攻略」に燃え、かつ「待つ」が苦手なようです。ってことは、ラブホへの誘いは二つ返事でオッケーし、ラブホに入ってから「やっぱりダメ」が効くのかもしれません。これまで筆者は、ラブホに入室しておきながら、セックスを拒む婦女子は詐欺師だと思っていました(笑)。オンナの風上にも置けないヤルヤル詐欺な振る舞いだと。いや、最終的にはヤルべきなのですよ。でもパフォーマンスとして、「やっぱりまだ早いかも」程度の焦らしがあっても良いと、連載最終回にして気付いた次第です。

 最後に……これまで本当にありがとうございました。今後ともAMをよろしくお願いいたします。

Text/菊池美佳子