69という単語が下ネタであると小学生の頃から知っていた。
それが実際にどんな体位なのかを学んだのは中学生の頃だ。
69という数字に意味があったわけではなくて、その形がそのまま体位を表現していることに感心したのを覚えている。
初めて69に挑戦したのは大学を卒業する頃である。仰向けになると顔の上にチンコが落ちてきた。
夢にまで見た69を経験している自分に感動した。しかし、数分もしないうちにギブアップしたくなった。
「全然気持ちよくないじゃん!」
仰向けの姿勢のままのオーラルセックスは首への負担がかかって、自由に動けない。
初めての69というワクワク感が薄れてくると疲労感ばかり募り、退屈な冷凍マグロと化していた。
ポジションを交代して上に被さる方になって再トライしてもしっくりこない。横になってもいまいち。
刺激的で快感に溢れるはずだった69にがっかりした。
それ以来、自分の中で69は名前がキャッチーで人気はあるが、実は退屈で疲れやすい体位になった。
どうして記念すべき連載第69回にこんな話をしているのかといえば、こうやってセックスを語ることが好きだからだ。
「セックスの話は限られた場所でしかしてはいけない」と考えている人が未だに多い。
セックスの話はいやらしいものだから、こんな公の場で書くべきではないと言う人もいる。
しかし、下ネタか、保健体育の授業か、こそこそ隠れてしかセックスの話ができないなんてつまらない。
最近常連になった美味しいレストランや昨日見たつまらない映画の話で盛り上がるように、日常の中でセックスについて語りたいのだ。
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