「彼氏はどこ?」
また同じ質問だ。
パーティに一人で参加すると何回もこの質問を聞かれるので、同じ答えを何度も繰り返すことになる。
相手に悪気がないのはわかっているが、いい加減にワインが不味くなる。
質問だけでは飽き足らず、恋人を家に置いてくるのは悪者だという議論を持ち出す人もいる。
パーティに連続で彼氏抜きで登場していたら破局したのかと思われたこともあった。
カップルだから必ずペアで行動しなければいけないというルールに同意した記憶はない。
彼氏だって、家でまったりやりたいことをやっているはずだ。
二人で別々に海外旅行をした時なんて周りから真剣に心配された。
彼氏を一人で海外に行かせて浮気を心配しないのか。
恋人なら海外旅行は一緒に行くべきだとか。
彼氏を置いて海外に行くのは非常識だとか。
聞いてもいないのに様々な意見をもらった。
これにはさすがにビックリした。
他人にここまで恋愛の中身について意見されるなんて初めてだった。
何より、彼氏のいない時間を大満喫していたところだったのに水を差された。
昔、彼氏がいないと絶対に外出しない友達がいた。
その友達は彼氏と一心同体だった。
何をするのも一緒だった。
友達も、着る服も、使っているスマホも全部一緒だった。
彼らが話すときに使う主語は「私」から「私たち」に変わった。
そんな恋愛に同意はしなかったが、否定もしなかった。
友達が幸せなら自分が口を出す必要はない。
ところが、私たちの友情は長続きしなかった。
その友達と遊ぶときは必ず彼氏が同行した。
その彼氏の都合が悪いと友達まで予定をキャンセルした。
自分からすれば友達の方と気兼ねなく時間を過ごしたかったが、常に彼氏の顔色を伺う必要があった。
それではパーソナルな話もできないし、ラブラブな二人の会話に入り込める隙もない。
ここまで一心同体を目指す人は極端だが、彼らを観察しながら自分の価値観とここまで違うのかと驚いたのを覚えている。
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