他の人にその話をすれば、返ってくる言葉はどれも同じだった。
「気持ち悪いね」
しかし、今の自分が同じ光景を目にすれば、きっと違う受け止め方をしただろう。
自分が老いて、杖なしでは歩けなくなったって、きっとたまにハッテン場で遊び相手を探したくなるかもしれない。
そんな時は、気ままにやりたいことをやりたい。
それだけのことなのに、周りから後ろ指をさされるのは悲しい。
セックスは若い人だけの特権だと決めたのは誰か知らないが、それで自分の自由を奪われる筋合いはない。
20代前半の頃は、ただ若いというだけで周りからチヤホヤされた。
どうして若いだけでモテるのか、深く考えたこともなかった。
20代の後半になるにつれて、体型が緩くなって、昔と比べてファッションへの関心がなくなった。
そうすると、自分の存在感がガクッと減った。
今でもここにいるのは同じ人間だ。
むしろ、中身は数年前より遥かに美味しくなっているはずだが、どうしてこんなにも扱いが違うのだろうか。
「そういうものさ」と自分に言い聞かせて、世間に擦れた人になった方が楽なのかもしれない。
この先、この肉体はもっと老いて、自分の存在はどんどん透明になって、そして笑いのネタにされるのだろうか。
「君が50歳になったら、ゲイバーは49歳以下限定の場所になってればいいね」
毒舌を抑えきれずに、ざくっと友達の急所を刺してみた。
こういうことするから友達が減る。
しかし、彼は何も言い返さなかった。
もしかしたら、何も言い返せなかったのかもしれない。
多かれ少なかれ、私たちは心のどこかで年老いていくことを恐れている。
そんな恐怖心を少しでも和らげようとして、そんな心無い言葉が口からこぼれる。
それがブーメランとなって自分に返ってくる前に、その当たり前を変えてしまおう。
何歳になったって、自由に生きたいじゃない。
Text/キャシー
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