はじめまして。
カナダで一番の大都市にして少し田舎なトロントに暮らすゲイのキャシーよ。
比較的リベラルなこの街で、若者向けにセックスや恋愛について教育をするお仕事をしているわ。
この連載では、あたしが周りで見聞きしたり、自分が体験した話をセックスポジティブに紹介するつもりよ。
連載を始める前に、「セックスコラムが書きたい!」と周りに相談してみたのよ。
そしたら、コンセプトを説明した時点で「それ、SATCのパクリじゃない!」というツッコミをたくさんもらったので、もう開き直ってこんなタイトルにしたわ。
パクリじゃなくて、インスパイアよ!オマージュといってもいいかしら。
それでは、キャシーのSATCをお楽しみ下さい。
もの凄いイケメンを射止めた友達は、情熱的すぎて眠れない夜を過ごしたはずなのに、いつもより不機嫌そうにブランチに現れた。
少し腫れた目を擦りながら、彼はコーヒーだけオーダーして「ちょっと聞いてよ!」と前のめりになってジューシーな話を教えてくれた。どうやら、そのイケメンくんとのセックスは最悪だったらしい。
彼の表情を見ればそれはすぐにわかったが、どうやらそれだけではなかったようだ。
「彼、セックスは“上手い”のよ。手順もよくわかってるし、気持ちいいのは確かだったんだけど、何かが足りないのよ。ケミストリーがないというか、全然セックスしている気がしなかった。『イクっ!』って言って、コンドームの中に射精して、彼そのままそっぽを向いて寝ちゃったのよ。こんなに空しいセックス初めて!」
こんな話をブランチの席で聞かされる身にもなって欲しいところだ。
「ほら、良かっただろ?」
いつかそんなセリフをセックスの後に言われたのを覚えている。
残念ながら、セックスはちっとも良くなかったが、相手があまりにも自信満々だったので首を縦に振るしかなかった。
別に彼が下手だったとか、不器用だったとか、そういうわけではない。何が不自然だったのかといえば、彼があまりに機械的だったのだ。
セックスに教科書があるとすれば、彼はそこにあるテクニックを熟知していて、それを毎回繰り返しているといったところか。
最初の10分はキス。次の10分はフェラ。そして10分穴をほぐしてからイクまでぱこんぱこん。
こちらからすれば、セックスというよりも、オナホールかディルドとしてオナニーに使われているような感じだ。言うまでもないが、そんな独りよがりなセックスは楽しくない。