卑猥は時代によって変わる
―最近、性表現への規制が厳しくなっていますが、神社にクレームなどきたりはしないのでしょうか。
K:逆に、性の表現は昔よりゆるくなっているように感じますね。昭和40年くらいまでは、日本にいまみたいなアダルト雑誌はなくて、海外でしか買えませんでした。でも、現代の日本では、その当時よりずっと過激なアダルト雑誌が買えますよね。
―言われてみれば…。
K:卑猥かどうかは、時代や人によって捉え方が変わると思います。昨年、春画が流行りましたよね。今は「芸術」だといわれていますが、江戸時代のころは今の「エロ本」と同じ扱いだったんじゃないでしょうか。
―たしかに!
K: 女性器のオブジェをつくったアーティストが逮捕された事件がありましたよね。うちには男性器だけでなく、女性器のご神体もあります。時代が変われば、うちのご神体も人の目につく場所に置いてはいけなくなるかもしれません。
―それは悲しい…。
K:たった数年でも、捉え方は変わりますからね。現在、アマチュア女装クラブ・エリザベス会館が出すピンクのエリザベス神輿を「リアル」とおっしゃる方もいますが、初めてお祭に出したときは「キュート」や「ポップ」だといわれていました。
性の表現は、あいまいで、すごく難しい問題ですよね。
―でも、現在、かなまら祭はたくさんの方に受け入れられていますよね。
K:はい。性器は特別なものではなく、人間に備わっている自然なものです。
近所の中学生なんて「ここはちんちん神様の神社だぞ!」なんて、自然に受け入れてくれますよ(笑)。
―ちんちん神様(笑)。そういえば、こちらにあるご神体やお神輿などの男根に、モデルはいるのでしょうか?もしかして、神様のちんちん?
K:まさか。モデルはいないです(笑)。
Text/ウェット・シルコッティ 2世