2004年から2008年までAV女優として活躍し、数百本の作品に出演したAVクイーン紅音ほたるさん。
今回は、紅音さんのAV引退後の活動についてお話を伺いました。
第1回「潮吹きの撮影には12Lの水を飲んでた」も合わせてどうぞ。
「AVがあることで性的に傷ついている男女もいる」と言われて……
――AV女優を引退してからはどんな活動を?
紅音ほたるさん(以下、敬称略): “つけなアカンプロジェクト”という活動を通して、HIVやSTD、望まない妊娠をもっと身近に考えようというメッセージを発信してます。“つけなアカン”っていうのは、セックスするときは絶対にコンドームをつけなきゃいけないってこと。具体的には渋谷の街中で定期的にコンドームを配ったり(基本的には毎月第2月曜日の夕方6時から)ポールダンスやDJで全国を回るときに現場にきてくれたお客さんに配ったりですね。
一つ一つ綺麗に紙の包装をしてあるんですけど、それにサインを入れて渡せば、コンドームだけを配るよりも貰いやすいしバッグに入れておく言い訳にもなるんじゃないかなと。
――元AV女優だった紅音さんが、どうしてこういう活動を始めようと思ったんですか。
紅音: 私にとってはAVって本来のセックスと全く違うものだったんです。AVはファンタジーの世界だから非日常的なことをしたって当たり前だし、エンターテイメントじゃなくちゃいけないって思ってた。
でも現役時代、早稲田大学でHIVに関する講演をさせてもらったときに、観客の方から「紅音さんはAV代表として出てらっしゃいますけど、AVがあることで若い男女が性的に傷ついたりしていることについてどう思いますか」っていう質問をされて、ハッとしたんです。
AVはフィクションだから、もちろん撮影現場ではちゃんとケガがないように気を配って、嫌なことをしなくてすむように話し合いや意志の確認をしてる。でも、日本にはちゃんとした性教育なんてないし、特に男子なんかはAVを性の教科書にしてる場合だってあるかもしれない。みんな性のファンタジーとして受け取ってくれてると思ってたけど、それは作り手側の思いこみだったのかもしれないと考えだして。AVは6年間やってもう思い残すところもないし、今度はセックスで傷つかなくて済むような性知識を伝えていきたいと思ったんです。
――それはAVを引退したことと関係はあるんですか。
紅音: そうですね。1年間くらいは女優をやりながら活動してたんですけど、やっぱり自分がAVに出てるとおおっぴらに言えないこともあるんですよね。例えばAVでの「生中出しセックス」っていうのは、実際には人体に害がない疑似精子を使ってカット割りで中出ししてるように見せたり、肌色に近い薄いコンドームを使ってモザイク越しだと生挿入に見えるようにしてる。でも現役でやってる人がそんなこと言ったら、夢を壊しちゃうじゃないですか。
――ちゃんとした知識がないままAVを観たら、これが真実だって思っちゃうかもしれないですね。
AVを性教育の教科書みたいにしていた童貞男子に初セックスでいきなり顔射された……なんて話も聞きますし。
紅音: 「エイズって何回セックスしたら感染するんですか」っていう質問を真顔でしてくる子もいますよ。
HIVは血液感染だから、健康な粘膜で普通のセックスをしてればコンドームなしでもそこまで感染率は高くないんです。
でも、例えば性病にかかっていて粘膜がボロボロだったら一回のセックスでも感染しちゃう。
妊娠しないからって粘膜に傷がつきやすいアナルセックスをコンドームなしでしてる人もいると思うんですけど、それはすごく危険なんですよ。
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