健康であれば、女性ホルモンはむやみに増えない

 女性ホルモンについて、専門家の宋美玄さん(産婦人科医・性科学者)にレクチャーしてもらいました。
宋さんも「女性誌から『女性ホルモンがいっぱい出る体位を教えてください!』とかって取材がよくくる。そのたび『セックスしても出ません』ってとこから説明しなきゃいけない」と嘆いてました。

 恋愛やセックスをすると女性ホルモンが増えて綺麗になる、と信じる人は多い。たしかに恋をして綺麗になる女性が多いのは事実。

 でもそれは、恋をすると「綺麗になろう」とモチベーションが上がり、美容やオシャレに励むから。毎日が充実して、自信に満ちてイキイキと輝くから。 
“氷川きよしくんにトキメいて寿命が延びるおばあさん”と同じ仕組みです。気持ちの問題であって、女性ホルモンとは関係ない。

 恋をしようがしまいが、卵巣は厳密に働き、女性ホルモンを分泌しています。分泌量は毎月、生理のリズムにあわせて変動します。

女性ホルモンの正体とは?

 主な女性ホルモンは、エストロゲンとプロゲステロン。
それぞれ、排卵を起こす・妊娠を維持する・女性らしい体つきを作る・肌をきめ細かくする…等、いろんな役割を果たしています。

一生のうちに分泌されるホルモンは、ティースプーン一杯程度だそう。思春期に分泌が始まり、20歳前後でピークを迎え、その後は減っていきます。女性ホルモンの分泌量は、増やそうと思って増やせるものではありません。また、健康であればむやみに増えたりもしません。

 では、女性ホルモンが増えるとどうなるか?
エストロゲンとプロゲステロンが同時に増えると、体がむくむ・肌が荒れる・便秘になる…等、生理前と似たような状態になります(月経前症候群=PMSは女性ホルモンの増加が原因)

 またエストロゲンが急激に増えると、排卵や生理のリズムが乱れます(結果、妊娠もしづらくなる)。乳がんや子宮がんになるリスクも高まります。
つまり、女性ホルモンがむやみに増える方が、健康や美から遠ざかるのですね

 …と宋さんから教わって、私も驚きました。同時に「マスコミってなんていい加減なんだ、ヒョ~~シャオ!」と叫んだ。
<女性ホルモンUPレシピ>とか平気で載せてますよね。そもそも専門家じゃない人に取材するのが間違ってる。医学的知識のない人が、イメージだけでホルモンを語っているのが現状でしょう。