前回の看護師Iさんのインタビューも合わせてどうぞ。
さて、今回ヰタ・セクスアリスを聞かせてくれたのは銀行員をしているアラサー女性・Hさん。
『アメリ』のオドレイ・トトゥに似た、落ちついたムードの元文学少女です。
「友達とはよく性の話で盛り上がるけど、電車の中や子供の前では気を使ってあまり話しません」という彼女。
奔放さと真面目さが同居したセックス観には、どんなバックボーンがあるんでしょうか。
性の目覚めは猥談の短編集
――まず、性の目覚めについて聞かせてもらえますか。
H: 「耳年増」って言葉がありますけど、子供の頃の私って「読み年増」「観年増」だったと思うんですよ。
本や映画が好きで、両親もそういう人達だったので、小学校高学年頃から大人の小説や映画のエロティックな描写に触れる機会が多かった。それが性の目覚めかな。
フェティッシュなものや猥談ぽいものなんかも出てくる大人向けの一般小説や映画から入ったので、あまりドロドロした目覚めではなかったですね。
――親や兄弟の好みって大きいですよね。中でも特に心に残ってるものというと……。
H: ジョニー・デップ主演の『チャーリーとチョコレート工場』って映画がありましたよね。 その原作者でロアルド・ダールっていう児童文学者がいるんですけど、小学校の頃にその人の本がすごく好きでよく読んでたんですよ。
で、子供向けの本を全部読み終わっても足りなくて大人向けの小説を読むようになったら、その中に猥談の短編集があった。夫婦のスワッピング話とか、女好きの男の武勇伝とかがいっぱい載ってたのをよく覚えますね。
そんな内容だとは全然知らずに読んだので子供心にびっくりしました。
――大人っぽい目覚めですね。小学校高学年の頃にスワッピング猥談が理解できたってことは、その頃にはもうセックスのメカニズムはちゃんとわかってた?
H: 大人向けの小説で断片的な情報はあったんで、「女の子のここにアレを入れるらしい」っていうのはなんとなくわかってました。 生々しくガッツリ知ったのは、3つ年上の姉が読んでるファッション雑誌からかな。
なんかエッチな体験談みたいなのを読んで、それまでなんとなく存在していた別々のコマがぴったりはまった。
――ああ「コマがぴったりはまる」ってありますよね。私も耳年増タイプなので、その感じわかります。小説や雑誌ってことは、映像よりも文章派ですか?
H: いえ、やっぱりドーンとインパクトがあったのは映像のほう。
すごく強烈に覚えてるのは、中学生の頃に見た映画『ピアノ・レッスン』のベッドシーン。
セックスシーンをしっかり観たのが初めてだったので、その場面は何度も巻き戻して繰り返し見ましたね。
H: あと、直接的なエロスではないんだけど、パトリス・ルコントの『仕立て屋の恋』を観たときは、フェティシズムや人間の執着を知って衝撃を受けました。 女性に恋した仕立て屋が、彼女を覗いたり、彼女が座ったベッドに顔をうずめたりするシーンを観て、不思議だなあ、でもすごいエロいなあと。
人間の欲望ってなんでもあるんだなって思いました。
――うわ、フランス映画か。私なんて『まいっちんぐマチコ先生』とか『毎度お騒がせします』とかでムラムラしてましたよ。
H: 中学生くらいになると、周りもセックスに興味が出始めてキャーキャー言いだすじゃないですか。
ギルガメッシュナイト観て喜んでる男の子を見て「ガキだなあ、セックスってもっと深いのに」なんてすかしたことを考えてましたね。
――さすが文学少女!
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