
先月は誕生月ということで、恋人と一緒に旅行をしてきました。東京から新幹線で富山に行き一泊。翌日は特急で関西方面に向かい、大阪に一瞬だけ立ち寄って京都に移動。そこでまた一泊して再び新幹線で東京という2泊3日のコース。どうしてこの旅程を組んだのかというと、旅の目的が富山の鮎と、京都のすっぽんを食べることだったから。大人の旅!
京都に行く手前、大阪に立ち寄ったのは、大阪の飛田新地にある飛田会館で、色街写真家の紅子さんの個展が催されていたから。遊郭時代の性病検査場や議場などが現存されている飛田会館は普段は非公開なのですが、今回は中に入ることができる滅多にない機会ということで足を運んだわけですが、それ以外は観光ゼロ。城も神社仏閣もスルー。そんな旅の二日目、富山から大阪に向かう特急サンダーバードのなかで列車内宴会を行っている最中、金沢を通りすぎた時にふと、金沢に来たことがあるかという話になった。
「数年前に北陸に住む祖母の葬式の後に立ち寄ったのと、あとは金沢映画祭でインド映画を観るために1回の合計2回かな……」と振り返っていたところで突如、大昔の記憶が蘇ってきた。学生時代、男友達と一緒に、遠距離恋愛中の彼女が住んでいるという金沢を訪れたことを。
べろべろになった男友達が言った
いったいどんな経緯で男友達と一緒に、その彼女の住む金沢を訪れることになったのかはさっぱり記憶がないのですが、初めて会う男友達の彼女はショートカットでウブな感じのおとなしい子だった。久しぶりに再会した恋人がよくわからない女を連れてきたことにも嫌な顔ひとつしないでくれて、一緒に確か金沢城などをまわり、晩ご飯は居酒屋で3人で酒を飲んだ記憶もある。そしていま思えば、わたしも遠慮しろよ、気が利かねーなと思うのだけど、そのまま3人で彼女のアパートに帰ることになった。
翌朝には男友達を金沢に残して、わたしだけ東京に帰ることになっていたのだけれど、旅先のテンションもあって深い時間まで3人で飲むことになったのですが、べろべろになった男友達が言ったのです。「うちの彼女、イったことないんだよね」と。さらには、「女の人のほうが女の人のツボをわかってるだろうから、ちょっとイカせてあげてくれない?」と。
わたしが無碍に断るよりも、彼女に拒否してもらったほうが形式として収まりがいいと思い「彼女がいいなら、やってみるけど」と振ったところ「じゃあ、挑戦してみようかな」などとのたまうではないですか。マジか!
こうなるともう後には引けないということで、仕方なく彼女を手マンするなり、クンニするなりしてイかせようと頑張ったのですが、当然のことイかない。最後には「やっぱり、無理みたい……」と泣かれてしまい、非常に気まずい夜となったのでした……が、そんな甘苦い想い出の金沢を通り過ぎて辿り着いた京都のすっぽんは、すべてがどうでもよくなるくらい美味しかったのです。
Text/大泉りか