ベッドの上で、いざ姫始め
ホテルに入ると二人してベッドの上で全裸で土下座をし合い、「明けましておめでとうございます。これから姫始め、させていただきます」「謹んでお受けいたします」という正式な挨拶風(そんなものはない!)をしてから、交わり始めた。
「香澄さま、どこが気持ちよいでしょうか?」となんだか分からないが平安貴族の淫乱女性を相手にする身分の低い男、といったプレイも交えながらこの日の一回目は終了。二回目開始前に香澄さんはハッとしたように言った。
「姫始めは終わったけど、2回目は何になるの?」
「う~ん、二番姫始め?」
「それってなんか本命の次と初めてヤる感じよね」
「まぁ、いいです。ヤりましょー!」
ということで2回目を開始。結局この日はコンドームを4つ追加してもらい、朝まで泊まることになった。知り合ってから7年間、一度もこの手の艶のある話はなかったため、互いに禁忌を破ったような背徳感があって盛り上がったのだと思う。
以後、2回「姫始め」はすることになったのだが、その最後が終わったとき、彼女は30歳になる今年はすでに結婚をすることが決まっていて、僕に会うのは最後だと言った。そして別れの言葉はコレだった。
「姫始めって言葉を教えてくれてありがとうね」
Text/中川淳一郎
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