下ネタで黙ってうつむく女性が実は「性の求道者」だった/中川淳一郎

とある大人数の飲み会では、女性同士(たとえば4人)が下ネタを開始し、その近隣に座っているとその声がこちらの耳に入ってくることがある。以前こんな展開になった。その中に一人だけ胸の大きい好美さんがいた。

A:豊胸してるおっぱいって寝てるときに見分けられるらしいよ
B:どうして?
A:普通おっぱいって寝るとダラリと横に垂れるの。でも、豊胸しているとお椀型をシッカリと保つから分かるんだって
C:そうそう。あとさ、私のこれまでの経験からすると、服の上からおっぱい大きい女って、ほとんどが垂れてるよ。Eカップ以上は大体そう
好美さん:……。

A:そうそう、AVに出る巨乳なんて珍しい人ばっかり
B:男に無用なファンタジーを植え付けちゃったよね(笑)
C:あんなのばっかりなワケないじゃん。オーディションしてるから張りのあるおっぱいの女優が出演し、人気者になるんだよ
A:しかも、銭湯とか行くと分かるけど、巨乳は大抵デブ!
ABC:爆笑
好美さん:……。

A:あ、好美さんは巨乳だったね
B:垂れてるの?

この段階でいたたまれなくなってきた好美さんは「普通かな」と答えた。そして、その会話が続く中、チラリと僕を見た。そう、僕は好美さんとエロをしたことがあるのである。Hカップだというその胸は垂れるどころかパンパンに張れており、しかも彼女は太っていなかった。寝ているときも横に少し動いており、豊胸しているわけでもなかった。

あのときチラリと僕を見た真意を後日、好美さんに聞いたらこう言った。

「ニノミヤさんが『好美さんの胸は垂れてませんよ~』とか言い出さないかとヒヤヒヤしていたのよ(笑)」

さすがに、全裸を見たことがある人間にしか言えないことを言うワケがない。ただ、好美さんは「普通かな」ではなく「全然垂れてないですよ」と言っても良かったものの、その場では巨乳に対する妙な敵愾心のようなものが感じられ、会話にほとんど参加できなかったというのだ。