「私、和彫りが入ってるの」彼女がベッドイン直前に告白した理由/中川淳一郎

本格的な刺青のある女性とエロをしたことがある。僕よりも3歳上の銀行員・大木さんとは大人数の飲み会では何度か会ったが、必ず最後は二人で喋るような流れになっていた。多分、この場合、互いに「我々は遅かれ早かれいつかヤるだろう」という確信めいた結論は持っていたと思う。

この日は普段よりかなり少ない5人での飲み会だったのだが、一人は「息子が熱出した!」でもう一人が「明日のプレゼン資料が終わっていない!」ということでドタキャン。なんだか気勢の上がらない3人飲み会になったため、わずか1時間20分でお開きになった。この20時20分の段階で、「じゃあ、サシで飲みますか」という空気に大木さんとの間ではなっていた。もう一人に手を振り、僕と大木さんは渋谷・円山町のラブホテル街の焼き鳥屋へ。

この店は当時女性とのサシ飲みでよく行っていたのだが、3回に1回ぐらいはそのままホテルへGO! ということになっていた。1時間でビールの大瓶を大木さんと2人で3本飲んだところで彼女は、カウンターの下で脚を絡めてきた。「アンタ、気付けよ」というサインだと都合よく解釈し、「会計し、次行きますか?」と言った。彼女は何も言わずにコクリと頭を縦に振る。

銀行員・大木さんが告白したのは…

渋谷であればいつもの飲み仲間に遭ってしまう恐れがあったので、我々は「空室」とサインの出ているホテルにすぐ入った。部屋に着いたところで濃厚な接吻をするのだが、やはり初めての相手というのは、これまで何度会っていたとしても緊張する。それにしても部屋に入ってから、彼女がおとなしくなっている。普段ならばこの段階で互いに全裸になっているものなのだが、ペースが大木さんは遅い。

「ニノミヤさん、待って」

ま、まさか、ここで「やっぱり私達はこんなことはしてはいけません、帰りましょう」と言うのか……。もうフル勃起をしているのになんと無慈悲なぁ~! 

「はい、聞きます」
「あのね、私、腿に和彫りが入ってるの」

「和彫り」と聞いても一瞬理解できずポカンとしていたら大木さんは「刺青よ」と続ける。僕は「はい」と言った。

「それでいいの? って聞いてるの。もうここまで来ちゃったけど、ニノミヤさんは刺青が入ってる女でも抱けるの?」
「そんなの気にしませんが」

そこで大木さんは「ふ~」と息をつき、自ら服を脱ぎ、下着姿になった。右の腿には見事な龍の刺青があった。腿にした理由は、職場では絶対に見られないからだという。銀行というお堅い職種では刺青を入れることはご法度。だから目立たない場所かつそれなりの面積が取れ、さらに自分でもいつも見られる場所に彫ったというのだ。そんなことはさておき、僕らは一回戦を開始。