「おい、全裸になれ!」サッカー観戦中に普段おしとやかな女性が豹変/中川淳一郎

今回はエロい話ではなく、バカな話である。とある仕事で一緒になったA社の女性社員・マナさんと、彼女の後輩社員・田中君とは気が合い、無事納品した後、僕の地元にある居酒屋で打ち上げをした。マナさんは32歳で田中君は30歳で、二人とも僕より年下だ。

この日は2010年6月14日。なぜ覚えているかといえば、FIFAワールドカップ南アフリカ大会予選・日本×カメルーンの試合が行われる日だったからだ。19時30分から飲み始めたのだが、普段はおしとやかなマナさんが杯を重ねるごとに「ガハハハハハ」と笑うようになり、好きな体位の話をするなどエロ話もするようになった。

正直、この豹変ぶりには仰天したものの、それよりも驚いたのがショートカットで小柄なマナさんがここまで大量に酒を飲むことだった。そうこうする内に時刻は22時30分になっていた。キックオフは23時のため僕は家に帰りたかった。

「あのぉ~、もうすぐサッカーの試合始まるのでオレ、家に帰りたいのですが」と2人に伝えたらマナさんは「だったら私もニノミヤさんの家に行く。おい、田中、お前も来るだろ!」と言った。これは普段の彼女だったら言わない口調である。

僕の部屋でW杯観戦をすると…

すぐに会計をし、コンビニでビールとスナック菓子を買い込み、キックオフ5分前に僕の家に到着。6畳間が僕の寝室兼食事場所兼テレビ部屋だった。試合前の様子を映し出す中継はすでに始まっており、我々は再度乾杯をし、キックオフを待つ。いよいよ開始したのだが、日本代表は強豪・カメルーン相手になかなか点を取ることができない。しかも相手にはサミュエル・エトーという世界最高峰のフォワードの選手がおり、危険な場面も多々あった。

「ウワッ」「ギャー!」などと我々は騒ぎながら試合を見ていたのだが、点が取れそうな気配がない。30分あたりが過ぎた頃、イライラしたマナさんがこう僕に命令してきた。

「おい、ニノミヤ、脱げ! 全裸になれ! お前が脱がないから点が入らないんだ!」

ワケの分からない理屈かつ要求だが、酒乱のマナさんの言うことを聞かないとさらにヘンテコリンなことを言い出すと思ったため、僕は素直にTシャツを脱ぎ、短パンとパンツを一気に脱ぎ全裸になった。

「おぉ、よくやった」とマナさんはホメてくれた。しかし、僕は女性の前でアソコを見せる場合、勃起していないと恥ずかしいという妙な気持ちを持っている。情けなくダラリと垂れたアレを晒し続けることになるのだ。

そして僕が全裸になってから9分後、右サイドでボールを受けた松井大輔がペナルティエリア近くまで切り込み、左足でクロスを上げる。そこに待っていたのはこの日ワントップに抜擢されていた本田圭佑。一度ボールを止めてから左足でシュートを打ち、見事先制点を上げた。

僕ら3人は大喜びで抱き合い、さらにビールを飲んだ。彼女の膝は僕のアソコに当たった。そしてハーフタイムに入るとマナさんは真面目な顔をして言った。

「カメルーンは後半強いはず。追加点がほしい、あるいはこの1点を守り切りたい。ニノミヤが全裸になって1点取ったから、もう1点取るか守り切るには田中も全裸になれ

こうして田中君もハーフタイムに入ると全裸になり、この6畳の和室には全裸の男2人と服を着た女、という意味不明の空間になった。
 
結局日本代表はヒヤヒヤするシーンはあったものの、見事1-0でカメルーンに勝利。マナさんは「お前たちが全裸になったから勝ったぞ!」と言った。その後日本代表はオランダには負けたもののデンマークには勝利し、日本は決勝トーナメントに進出することとなる。