「オレらどうします?」
1時を過ぎ、残ったビールで祝杯をあげ、寝ることになった。マナさんのために布団を敷くと彼女はすぐに寝始めた。田中君とはこんな会話になった。
「田中さん、オレらどうします? 畳にそのまま寝て、クッションを枕にしてタオルケットをかければいいですが、服どうしましょうか?」
「なんかよく分かりませんが、マナさん、オレらの全裸をラッキーの象徴と捉えているみたいなので、朝起きたときに服を着ていたらヘソを曲げるかもしれないので全裸でいましょう」
というわけで、我々は全裸で寝たのだが、翌朝「えぇぇ!」という声で目が醒めた。マナさんが全裸の我々を見て驚いている。
「なんで二人、裸なんですか? ニノミヤさんと田中君、そういう関係だったのですか?」
すっかり正気に戻ったマナさんは自分が全裸になるよう指示したことを覚えていないようだった。事情を伝えると「恥ずかしくてたまりません……」と彼女はすぐに帰って行った。もちろん、その後も仕事は続いたわけだが、あの時のことを彼女はもう思い出したくないようである。まったく話題にもしなくなったし、泥酔することもなくなった。
Text/中川淳一郎
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