クンニとフェラは愛の証明??

岳亭春信『婦男愛添寝』(1823年)国際日本文化研究センター所蔵

起請にまつわるこんな春画があります。
岳亭春信の『婦男愛添寝(「ふなあそび」と読む。すげえタイトル。)』(1823年)には愛し合う恋人たちが交わりを楽しむ様子が描かれています。

男性は「おめえとおれは、固い約束をしたが、なにかお互いに真実の心を見せるようなことはできないか。」と言います。そうすると女性は起請を書くことを提案します。男は起請なんてもう時代遅れだと言い、あることを思いつきます。

「いいことを思いついた!お互いに女陰と男根を舐め合おう!」

女性は「え……舐めるの?」と微妙な反応をします(そりゃそうだ)。

「ん?いやなのか?」と聞かれる女性は嫌でないと言い、舐め合いを始めます。きっと彼女的には真実の愛が性器の舐め合いという提案が微妙だったのでしょう。もっとロマンチックな愛の証明がしたかったのだと思います。

江戸期にはシャワーや性器を洗うための石鹸なんて無かったので、清潔にしていない女性の股は臭うというイメージが存在していました。春画のテーマでも、嫉妬する女性に「ほら、こんなにあなたの股を舐められるほどに好きなんだからもう嫉妬はやめておくれ」などとクンニをする男性が描かれることがあります。女性からしたら「そんな恥ずかしいことは止めて」ってかんじだったのかも。
「愛の証明」なんてそんな簡単にできるもんじゃないですよね。

Text/春画―ル

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