「官能小説家です」というと、親切にも自身の性体験を語り出してくれる人が、少なくありません。人の恋バナや、セックスの体験談、不倫告白や性癖などを聞くことは大好きなので大大歓迎という大大大前提はありつつも、正直なところをいえば、“おもしろい話”と“つまらない話”に分かれるとも思っている。
人に聞かせるということを意識してのオチがついているものが、おもしろいのは当然として、「なぜ、その人とセックスをしたのか/そういうセックスをしたのか」という自己分析があると興味深い。さらにマッチングアプリで巨チンの性豪とマッチする方法や、潮吹き体質の女性がベッドでセックスをする際の心得と準備などなど、その人が経験によって得た貴重な情報が含まれていると、目から鱗が零れるとともに、知識が得られてとてもありがたき。個人的に一番好きなのは、性癖および、その性癖をどうやって満たしているかの話で、みな自分の言葉で語ってくれるので、これまで聞いたことのないオンリーワンの話を聞くことができる上に、「皆、己が望む性を実現させているのだなぁ」と勇気が貰えた気持ちになるのです。
面白くないエロ話の特徴
一方で“つまらない話”というのは……ぶっちゃけ、ノロケ話でしょうか。パートナーやセフレのセックスがどれだけ優れているかと誇られたところで、それは多少なりとも感情が介在するからであって、あれだけ「身体の相性が良すぎて」とうっとり熱弁していたにも関わらず、別れた後になって「クンニが下手だった」「チンコが粗」と意見が180度変わる人は、これまで幾度となく目にしてきました。熱愛中の相手とのセックス話は、確実に何かが盛られているので、マニアカップルのマニアプレイ以外の話は、聞いてもあまり仕方がないと思うに至ったのです。むしろ憎んで別れた後も「でも、セックスだけは最高だった……」という話ならば聞きたいですが。
もうひとつ、ほぼ確実に面白くないセックスの話があります。それは「俺の知り合いの女の子で、すごい経験している子がいるから、話を聞いてみなよ」「この子、エロ系で面白い子だから、ぜひ体験談を聞いてみて」などという触れ込みで、男性から紹介される女性のエロ話です。幾度か「いったい、どんなすごい話が飛び出すのか」と期待して話を聞く体勢を取たところで、いざ対面すると「いや、話すほどのことでも……」と、どうしてか、なかなか話し出してくれない。
それでも、なんとか聞き出すと、「以前、SMクラブでバイトをしていたことがある」とか「ハプニングバーに行ったことがある」など、割と性に奔放そうなエピソードが出てくるものの、そこから先、詳しいエピソードまでは語ってくれず。なんなの、すごい体験の具体的な内容、教えてよ! なんで教えてくれないの!?
- 1
- 2