「とにかくエロい女」が大胆不敵すぎて、気づけば青姦になった話/中川淳一郎

世の中には大胆不敵すぎる人がいるものだ、ということを感じることがある。大抵の場合、それは男なのだが、僕が会った女性で大胆不敵だったのは山下さんという当時29歳だった女性だ。当時僕は31歳。

とにかくエロい女がいるからニノミヤも一度会った方がいいよ。面白い人だから。場合によっては付き合っちゃえば。多分、キミとは合うはず」と会社の先輩女性から言われて会ったのが山下さんだった。その先輩にとって山下さんは馴染の某ターミナル駅のバーで会うようになった常連客だったのだという。

実際に会ってみると陽気な人だった。

「あなたがなかなかいい男だと聞いたから今日はサシ飲みだけど、本当にいい男ね!」

「いや、そんなことは……」

「当たり前じゃないの! リ・ッ・プ・サー・ビス! キャハハハ!」

常時このような調子なのである。そんな雰囲気で僕が彼女のとにかく明るい様子に押されてタジタジとなる状況だったのだが、「ねぇ、ニノミヤさん、私いい女でしょ?」と言いながら彼女はカウンターで僕の手を掴み、Dカップだという自身の胸に手を当てさせた。

さらには「もう興奮しまくってるんじゃないの?」なんて言って僕の股間に手を当ててくる。恐らくバーの馴染みの店員も、常連も彼女のこうした行動には慣れているのだろう。特に気にする様子もなかった。

かくしてこの日は2人とも生ビールを6杯ずつ飲み、いい気持ちになりお開きとなった。たまたま山下さんと同じ駅に住んでいたので、その駅から数駅の各駅停車しか止まらない駅へ。お互い、道には詳しいのだが、山下さんはこう言ってきた。

「ねぇねぇ、今から外でエロいことしようよ!」

利用者も多い駅なのだが、我々2人はこの街の様々な場所を知っている。そうした中、2人は自然と人通りが少ない場所を目指していく。僕自身はそんな場所でディープキスができればいいと思っていたのだ。