本当に「問題はない」のか
ところで、もし問題のない5000万円に求婚されたらどうするか、というと私は「断る」。
これだけ質問に文句を言いまくった上で答えるという、出された飯に難癖をつけながらおかわりする客の如き厄介さだが、こうすることで「今後何も聞かれなくなる」という利点があるのだ。
理由はもちろん「5000万より今の相手と築いた『絆』の方に価値がある」からである。
しかしこの答えはあくまで「現時点」のものだ。
今後、金に困れば「5000万円なら虫でも問題ない」と言い出す可能性は大いにある。
だが「特に問題のない年収5000万円の人」というのも「現時点」のことだろう、来年には借金2億のDV野郎かもしれないのだ。
そもそも多くの人が年収5000万とはいかないまでも「特に問題のない、暮らしてはいける人」と思って結婚しているはずである。
しかし結婚してみると「問題しかなかった」ことが判明するケースが少なからずあるのだ。
これは「見る目がなかった」「選んだ方も悪い」という問題ではない、彼氏で良い人が旦那としても良い人とは限らないし、人は突然変わることだってある。交際段階で全てを見極めるなんて不可能だ。
この特に問題のない年収5000万円の人も結婚後、どう変化していくかはわからない、むしろ今高スペックな分「降下が激しい」可能性もある。
凡人は「落ちても致命傷で済む高さ」で生きた方が幸せ、ということもある。
そして夫はとりあえずこの10年間は「特に変わりなかった」
そんな実績のある人と自分の信用を捨てて、これからどう変わるかわからない人を取る、というのは5000万円でもリスクが高いのではないだろうか。
そもそも「特に問題のない人」なら、私に問題があることに気付いて早々に離婚される恐れがある。
5000万だろうが500円だろうが「他人の収入を頼る」発想が今の世の中一番リスキーなのだ。
Text/カレー沢薫
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