14歳で死んじゃダメ!
- アル
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私はデビュー当時から「赤裸々な本音を描く」みたいな芸風と言われてきたんだけど。
- 菊池
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芸風(笑)
- アル
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でも本人は赤裸々という意識はなく、思ったことをそのまま書いてるんですよ。そうやって吐き出すことで、どんどん軽くなっていった感じです。
- 菊池
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そっか。そうですね。私も本を書いて、頭の中を整理できたのがすごく大きくて。
『酔うと化け物になる父がつらい』を出してしばらくしてから、夜中に突然、母に対する怒りが湧いたんですよ。
それまで母のことはすごく可哀想な人だと思ってたのね。でも「家の中で死ぬなよ! 子どもを第一発見者にするなよ!」みたいな。
- アル
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「やるなら屋外でやれよ!」っていう。
- 菊池
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夜寝てるときに、初めてわーっと怒りが湧いて。そのときは感情に飲まれてるからつらいんだけど、でも楽になったというか。怒れるようになったのはすごく良かったなと思って。
- アル
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ネガティブな感情に蓋をしていると、マグマみたいに溜まっていくから。吐き出すことはすごく大事だと思います。
私は42歳で父が自殺したから、父の遺体に対面しても「ひさしぶり、元気?」みたいな感じで。
一同:(笑)
- 菊池
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私もせめて、中年になってからにしてほしかったな~。
- アル
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そうですよ。14歳とかで親に自殺されたらめちゃめちゃショックじゃないですか。
- 菊池
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ショックっていうか、本当に認識できないんですよね、何が起きているか。
- アル
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そっか、やっぱ解離みたいになっちゃうから。だから『酔うと化け物になる父がつらい』にもあったように、大人になってDV彼氏にひどいことされても無感情になっちゃうみたいな?
- 菊池
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そうそう。嫌なことがあると解離っぽくなるので、何も考えられないまま流されちゃうとか。原因はそれかなと思っていて、やっぱ14歳で死んじゃダメですよね。
- アル
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40ぐらいまで待てよって思いますよね。
- 菊池
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本当に待ってほしい(笑)。今ならもうちょっと対処できるのにと思いますもん。でもアルテイシアさんもお父さんの自殺のこと、周りにすごく心配されませんでした?
- アル
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私は「お父さん自殺してさ~!」みたいな感じでしゃべるから、どっちかというと、ギョッとされるんですよ。
一同:(笑)
- アル
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昔から神妙にするのが苦手で、本音と建前とかよくわかんないんですよね。「王様はフリチンだ!」と言って、たしなめられ続ける人生でした。
- 菊池
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たしなめられ続ける人生(笑)
- アル
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そのお陰で毒親ポルノ的なものに「綺麗事抜かしやがって!」と言えるので、よかったのかもしれません。