「チンポなんてとってしまいたい」夫

「昼は聖女で夜は娼婦」すなわち「清らかな面もありつつ、小悪魔のようにセクシーな面もあれ」と夢を語る殿方には、小悪魔なんてチンケなものではなく悪魔将軍となり、地獄の断頭台でチンポをぶつ切りにしてあげるといい。

 女性誌にも「結婚しても女を忘れず、セクシーな存在であれ」といった提案が載っており「下着は見えるところに干すな」等と書いているが、ではどこに干せばいいのか?仏壇の中とか?

 また「むやみに裸を見せるな」系のアドバイスもあるが、風呂上がり、私は小一時間ほど全裸で過ごす。
すぐに肌着を着ると汗でビッシャビシャになって洗濯物が増えるからであり、「汗が引くまで全裸待機=エコでロハス」という発想だ。

 以前、夫に「妻が素っ裸でいるのはイヤな夫もいるらしいよ」と言うと「まあ緊急時に全裸で避難するのは危険だからな」と返されて、「そこじゃないと思うよ」と言うと「そこじゃなければ、どこなんだ?」と真顔で聞かれた。

 たしかに、風呂上がりに薄化粧してセクシーなネグリジェで夫を欲情させる妻など、三次元では見たことがない。
そもそも風呂上がりはのぼせて顔は真っ赤だし、全身から湯気が立ちのぼり、腰にタオルを巻いて手をパーにしたら金剛力士像、恐れ多くて欲情どころじゃないだろう。

 結婚とは約半世紀に及ぶ日常生活であり、風呂上がりに自宅でくつろげないなら、私は独身でいることを選ぶ。

 このように開けっぴろげな我が家では、私のBLCDなども堂々と食卓の上に置かれている(食事中にBLCDを流していたら「イヤホンで聞いてくれないか?」と夫に頼まれた)

 そして夫の方もエロ本を隠したりはしない。

 以前、夫の部屋を片付けていたら、爆乳の西洋人女性の載ったヌード雑誌が何冊も出てきた。
片ヒザをついてミサイルのように乳をかまえるグラビアを見ながら、「こんなガンキャノンみたいな写真で抜けるのか?」と夫に聞くと「俺はなんでも抜ける!」と伝説の剣を抜ける勇者のように胸を張られた。

 またある時、夫の部屋で「AV女優鼻フック選手権」なるDVDを見つけた義母に「アルちゃん、イヤな時はちゃんと断るのよ」と真顔で言われて「いやいや!鼻フックとかされてないんで!」と慌てて答えた。
その後、夫は義母に「もっとマシなん観なさい!」と説教されていた。

 このように書くと、我が夫が異常性癖の持ち主のようだが、いたってノーマルである。
というかそもそも性に執着がなく「寝技する時に邪魔だから、チンポなんてとってしまいたい」とすら言っている。

「チンポなどただの飾りです!」と言うつもりはないが、加齢とともに勃起力は低下するし、セックスにおいて必ずしも重要な器官ではない気がする。だがオシッコを出すホースの役割があるので、一応とっといた方がいいと思うぞ、夫よ。