念願の我が子宮と対面、夫婦の感想は…子宮全摘1周年記念③/59番目のマリアージュ

旦那さんが奥さんにバラをサプライズでプレゼントしようとしている像

 約1年前、手術から退院後の日々を日記に綴っていた。

その日記には「健康であれば人生の8割は幸せだ。当たり前の日常がいかに貴重で素晴らしいかを忘れずに生きていきたい」と書いているが、すっかり忘れていた。

やはり文章に残すのは大事だ。文章に残していたお陰で、こうして手術にまつわる話も詳しく書ける。

手術の前日、いきつけの総合病院に入院。

基本、患者は受け身な立場なので気は楽だった。センター試験前日の方がよっぽど緊張した。

夫が病院から帰る際「ポンチさん、これを」と封筒を渡してきたので「まさかラブレター…?トゥクン」と思って開いたら、般若真教の写経だった。

夫はこの写経を2枚書いて、1枚を京都の寺に納経してきたらしい。「なんだ、ラブレターかと思った」と言うと「ラブレターなんて何の効力もない」と返された。

アルテイシアさんがもらった写経の画像 ※もらった写経

 翌日、手術の前に下剤&浣腸。腸内洗浄とは大変なものだと実感する。

ゲイの男友達が「口と手で抜くことが多くて、意外とアナルセックスってしないのよ、準備が面倒だから」と言っていたが、その意味がよくわかった。

ちなみに彼は「痔になって病院に行った時『先生、ここの入れるところがね』と言ったら『肛門は出すところです!』と返されちゃった、概念が違うのね」と話していた。

概念。

概念はさておき、ウンコを出し切った後、ベッドに寝かされたまま手術室に運ばれる。

手術室は真っ白だった。「バイオハザードみたいですね!」と言いたかったが、病院で縁起でもないので言わなかった。

さあ、ついに子宮全摘手術が始まる。

私はエモさに欠ける性格なのか「さらば~子宮よ~」みたいな感傷は皆無で、ひたすら「脊椎麻酔とVIO脱毛、どっちが痛いんやろか」と考えていた。

「背中に打つ脊椎麻酔が超痛かった」とよく聞くため、怯えていたのだ。

痛みとは恐怖なのだと思う。

世のお母さん方が「出産に比べたら何のこれしき!」とドーンと構えているのは、死ぬほどの痛みを経験したため、恐怖が少ないんじゃないか。

一方、私は痛い目に遭ったことがない。毒親や恋愛の痛みは売るほど経験してきたが、大きなケガや病気といった肉体的な痛みは経験してない。

そんな私の人生で痛かったランキング第一位は、VIO脱毛だった(二位は腸炎でウンコを漏らした時)

私はVIO脱毛をしたことで、強くなった。「あの痛みを乗り越えたのだから」と歯医者や注射も怖くなくなった。893(326風に表記)の刺青にも、精神を鍛える的な意味があるのだろう。

そんなわけで、脊椎にブスッと針を刺された瞬間「VIO脱毛の方が痛い!大丈夫!」と思い、「パイパンにしてよかった………」と意識が薄れていった。