青春を謳歌できなかった民の憧れ
精神年齢が低すぎるのは我々夫婦に限った話ではない。
「アルテイシアの熟女入門」という連載に「実年齢に精神年齢が追いつかないのもJJ(熟女)あるあるだ」と書いた。
数年前、女友達3人で温泉に行った夜、みんなでヅカメイクをした。
ついでに星ヴァギナ・鏡ワレメ・釈はち子と芸名をつけて「人間はそのウンコ1つ、アナル1つにいたるまで自由であるべきなのだ!市民諸君(シトワイヤン)!」とベルばらごっこに興じた。
そして先月も女友達3人で温泉に行き、夜、部屋でツイスターをやった。
「中年女性とツイスター」など、食い合わせが悪すぎて食中毒案件なのは承知だ。たとえ熟女好きでも、阿闍梨(あじゃり)レベルに徳の高いマニア以外は受け入れられないだろう。
だが、私はツイスターをしたかったのだ。
私はしたかったのだ、ツイスターを。
倒置法まで使って強調するのは、我が10代が「喪どころか無」だったからだ。
女子校育ちで異性との接点がゼロで、好きな男子に告白して振られるチャンスすらなかった。そんな焼野原のような青春を送った私は、カルピスウォーターのCMとか見ると涙が出るし、湖畔でキャンプして青姦中にジェイソンに殺される若者にすら嫉妬する。
そういう青春を謳歌できなかった民の憧れの象徴がツイスターなのだ。
というわけで、温泉につかって肥満と病気の話をした後、部屋に戻ってツイスターをしたのだが、最高に楽しかった。青春プレイバックという感じでゲラゲラ盛り上がり、「今ならジェイソンに頭割られてもいいや」と思った。
トランプで七並べとかするより楽しいので、皆さんもやってみてほしい。ただし靭帯断裂とかすると目もあてられないので、ストレッチを忘れずに。
私は「旅行は女友達と行くのが一番」という主義である。
夫の希望する旅は「ブラジルで道場巡りがしたい」「アマゾンでUMAを探したい」など、あまりにも方向性が違うからだ。
先日はゲーム『源平闘魔伝』が大好きな夫が「平景清の墓に参りたい」と言っていたので「じゃ私も行こうかな、温泉でも入ろうか」と提案すると「いや、あそこは聖地なので1人で行く」とキッパリ返された。
一方、70代の父母をもつ女友達は「この前、母が女友達との旅行から帰ってきて『楽しかったけど、やっぱりお父さんと行くのが一番』と言っててビックリした」と話していた。
彼女いわく「うちの両親、いまだに2人きりになるとイチャイチャしてるみたい。娘としては若干吐きそうだけど、まあ夫婦円満なのは何よりだ」とのこと。
やはり仲のいい夫婦はイチャイチャしているらしい。
知的クールな担当女子も『2人で洗濯物を畳んでいた時、夫が私のパンツを畳みながら「こうしてパンツに欲情しなくなるんだなあ」としみじみ言っていて、大変頭にきました』と冷静に書いていたが、実際は「もう、おこだぞ!ぷんぷん♡」「ごめりんこ、ラブリーちゃん♡」とイチャイチャしているに違いない。
わかる。
誰も読みたくない話ですまないが、私も夫とイチャイチャしている。過去記事【四十路を越えて「かわいい?」と聞きまくる女】にも書いたように夫に「かわいい?」と聞くのが日課で、昨日も夫に「かわいい?」と問うたところ
夫「ハーピーみたいでかわいい」
アル「ハーピーって誰?」
夫「ギリシア神話に出てくる魔物、ネットで調べてみるといい」
というわけでハーピーを調べてみると「醜悪な姿でひどい悪臭を放ち、そこらじゅうでウンコしまくる」と書いてあった。
またもやウンコの登場で、幼児退行はなはだしい。
我々はちゃんと大人なのか?「見た目は大人、頭脳は子ども」の逆コナンくんなのでは?と不安になるが、私が『TIGER & BUNNY』を観ていた時、夫が「これは『トミーとマツ』のリメイクか?」と聞いてきたので、昭和生まれの熟年夫婦なのは間違いないだろう。
Text/アルテイシア
※2017年3月7日に「TOFUFU」で掲載しました
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