「バーチャファイター以下だ」
かくいう自身は勉学に励まずズベっていたので、燃やされても文句は言えない。
デビュー作『59番目のプロポーズ』には「オタクとキャリアの恋」という副題がついているが、「童貞とズベ公の恋」でもあった。
正確にいうと夫は童貞ではなく素人童貞で、20代の頃に風俗で初体験したそうだが「こんなものバーチャファイター以下だ」という感想だったらしい(夫にとってバーチャファイターはストⅡより何ランクも落ちるゲーム)
その後は風俗通いすることもなく、格闘技やオタク趣味にまい進していた夫。
30過ぎて私と付き合った時も一切手を出してこなかったため、業を煮やした私が「早すぎない?」と渋る夫を「大切にするから」と説得してやらせてもらった。
初試合に臨んだ際、夫は私のパンツを見て「Tバックってパーティーグッズ的なものだと思ってた」と言い「いやギャグで履いてるわけじゃないから」と返した。
そこから「ダメだ!ガードポジションかと思い、とっさにパスガードを狙ってしまう」「関節技はやめてくれ!」とすったもんだの末、結局、チンポがうまく勃たないまま終了。
その後、何度目かのトライで合体に成功した。
成功後、夫に「どうだった?」と聞くと「意外と普通だった、もっと野菜を切ったり吹き矢を飛ばすかと思った」と返された。
「ズベってるからってビックリ人間的な技ができるわけじゃねえぞ!」と爆笑しながら、こんなギャグテイストのセックスは初めて…と思った。
だが私は“人のセックスを笑おう派”なので、夫とセックスするのは楽しかった。
昔、2人でバーにいる時に「俺は風俗好きだけど、風俗嬢と付き合うのは無理だな~!」と大声でほざく男性客がいて、夫が「それは職業差別だ、それに風俗でサービスを受けながら風俗嬢を見下すのはおかしい、彼女らは体を張って働いて立派じゃないか」とビシッと返していた。
それを聞いて「こんなこと言える男、初めて…だから私はこいつと結婚したんだな」と思った。
やはり男はチンポじゃなくアナルだ。チンポなど勃たずとも、アナルがデカければそれでよい。