タンポンは入るのか?
私は中高と女子校育ちで、今でも同級生とよく集まっている。
先日もわが家でJJ(熟女)会をした時に、友人が「大学受験で試験の最中に鼻血が出た」という話をしていた。
ポケットティッシュを出して押さえたものの止まらず、答案はみるみる鮮血に染まり、結局は医務室に連れて行かれたらしい。
「それで第一志望に落ちたから悔しくてさ~」という彼女に「タンポンを鼻に詰めればよかったのでは?」という意見が出た。
「朝まで安心のスーパープラスなら2時間はもつだろう」「でも鼻の穴に入らないんじゃ?」「いや頑張れば入るだろう」と議論しながら、「そういえば、わが家にタンポンが1本残ってたな」と思い出した。
そこで実験してみたところ、ギリギリ入った。使用したのはソフィソフトタンポン・スーパープラスだ。
ただかなりギリギリだったし、鼻の穴が小さい人は無理だと思う。私も直径があと数ミリ大きければ無理だった。
また入れてみて気づいたが、鼻の穴は伸縮性が低い。出産を「鼻からスイカ」と喩えるが、鼻からスイカは絶対出ない。出そうとしたら鼻本体がバラバラになる。
そんな気づきを得ながら、鼻のタンポンから紐がぶらさがった状態で写真を撮った。「これ待ち受けにする?」とか言いながら。
ちなみにその写真を夫に見せたら「うん、違和感がないね」と言われた。タンポンを鼻に入れて違和感のない妻、なんだか誇らしい気分だ。
タンポンの思い出はもうひとつある。
中学の修学旅行に生理が重なって、私は心身ともにブルーだった。そんな旅先の夜、旅館の部屋で級友たちと「タンポン使ったことある?」「ない」「じゃあ実験してみよう!」という話になった。
同じく生理中だった友人からタンポンをもらって、私はひとりトイレにこもった。なにせ未開拓の穴なので「いたたたっ、無理無理!」と叫び、ドアの外から「がんばれ!」「諦めるな!」と励まされて、牛の出産っぽくなっていた。
必死でどうにか押し込み、トイレを出て「実験成功!」「イエーイ!!」と友人とハイタッチした瞬間、スポッとタンポンが抜けた。ちゃんと奥まで入っていなかったのだ。
そんなに狭かった穴も、数年後にはチンポもらくらく収納できるようになった。やはり膣は伸縮自在の悪魔将軍的存在だ。
だが、その先にもう子宮はない。
きっともう出会うことはない、タンポン。
でもたまにふと思い出す。
記憶の中に刻まれた、あの青春の日のタンポン。
タンポン、と体言止めでエモく表現しようとしたが無理だった。やはり私はエモよりエロが向いている。
年をとろうが子宮をとろうが、人間の中身は変わらない。我々は40を越えても「見た目は中高年、中身は中高生」の役立たずのコナンくん状態で、タンポン実験を行ってはゲラゲラ笑っている。