老害おばさんにならないために

恋愛小説(講談社文庫)

「昔は大らかでよかったな~」と回顧するのは中高年の男性で「昔は上司が気軽に尻に触ってきて、大らかでよかったわ~」と目を細める女性は見たことがない。

女性の方が被害に遭う機会が多いため、セクハラに敏感だ。一方で「自分が加害者になるかも」という意識が鈍感になるのはよくない。
そこで老害おばさんにならないために、JJべからず集を浪速のゆり子に聞いてみた。

「社内で周りのJJを見て『これはあかんな』と思うことはある?」
「一番ダメなのは、接待や飲み会で『やっぱり若い子の方がいいですよね~』と若手女子にお酌させようとするとか」
「それは絶対あかんやつやな」
「あと、フリーの若い男女がいると『2人付き合っちゃえば?』と言うとか」
「それもあかんやつや」
「異性の友人同士で旅行したとか聞いた時に『ほんとに何もなかったの~?』と聞くとか」
「それもあかんな、なによりブサイクや」

若い男女を見るとすぐ恋愛に結びつけるのも、老害の発想だろう。そもそも相手が異性愛者だとも、恋愛を求めているとも限らないのに。

20代の女友達は「年上の女性とバーに行った時、男性店員さんに向かって『この子彼氏いないんだけど、どう?めっちゃいい子なのよ~!』と言われたんですよ。その場では『いやいや!相手にも選ぶ権利が!』と笑顔で返したけど、すごくイヤでした」と話していた。

また、アラサー女子に「『恋愛小説が好き』と言うと『じゃあなんで自分は恋愛しないの?』と聞かれることがあって困るんですよ」と相談された時は「サッカーを見るのが好きな人に『なんで自分はサッカーしないの?』って聞くか?と返せばいいよ」と答えた。

今ではそんなこと言ってる私も、かつてはデリカシーのない発言をしたことがある。だからこそ「自分もハラスメントするかもしれない」「自分もハラスメントしたかもしれない」と注意したい。
「今の世の中は息苦しい、不自由だ」と嘆く人がいるが、私は誰かの犠牲の上に成り立つ自由など欲しくない。

「結婚せえへんの?と聞くのがセクハラやったら会話できへん」と芸人の小藪が発言していたが、今、子どものいない既婚者に『なんで子ども作らへんの?』と聞く人は減ってきた。
「人それぞれ事情があるんだから、ズケズケ踏み込むべきじゃない」という意識が浸透してきたからだ。

時代は変わるし、人の意識も変わる。自分がアップデートできないことを他人や社会のせいにする老害に、私は死んでもなりたくない。