本当にヒエラルキーはあるの?

選ぶ男。選ばれる女。
選ぶ男の位が高ければ高いほど、女の幸福度も上がっていく。だから、目ん玉が飛び出るほど稼いでいる売れっ子スタイリストが住むようなエリアで、高スペックの男たちに“選ばれて”暮らす女たちは、ステイタスが高いのである。

なぜなら、幸福だから。誰よりも、ラッキーで、幸せだから。なわけないだろ。そうはいくか。人生って、すごろくみたいにどっかにたどり着いたら「あがり」じゃない。一人一人の幸福感は、全部同じじゃない。

まだ何も持っていない、何者でもない20代の私は、それがわからなかったので、友人のいう「専業主婦怖い」っていう言葉を鵜呑みにしてしまっていた。そっか。すごい人たちに選んでもらったから、威張っていいんだ。なんか怖いな。なんかすごいな。
そんな感覚で、その人たちのことを、“あっち側”に行った人、と思い込もうとしていました。

でも、仕事して、恋愛して、結婚して、いっぱいいっぱい失敗もして(失敗なんて今だって毎日してるけど)、子供を育ててる今の私なら、やっとわかる。

ヒエラルキーなんて本当は存在しない。私たち女性を“こっち側”と“あっち側”に分断するものなんてどこにもない。男にだってそれはできない。

だって、私にとっての“あっち側”が誰かにとっての“こっち側”なんてことは往往にしてあるし、私だって、誰かの目から見たら“あっち側”にいるかもしれない。あるのはただ、「私、これで大丈夫なんだろうか?」という不安と焦りだけである。そんな簡単なことに気づくのに私は20年ぐらい使っちゃったし、気づいたからといって、ヒエラルキーなんて気にしない、と開き直れるほどポジティブになれてもいない。きっと、公園や学校で、売れっ子スタイリストのママを「私より下」と扱ってきたママだって私と同じことで悩んでるんだろうし、自立したカッコいいママだって一緒なんじゃないかな。

もしかしたら、“選ぶ男”だって同じかもしれない。俺は何を持っていればあいつより上なんだろう、何が俺を豊かに、幸せに、してくれるんだろう、って、出口のないトンネルを一生ぐるぐるしちゃうかもしれない。

お互いを格付けしあって縛りあって、幸福の烙印押しに必死になって、意外とその意味がわかってないなんて、笑える。笑うしかない。でも今は、どんどん笑っていくことでギャグにしていくしかないんだな、とも感じてる。

「私がこうすることで喜ばぬ女はいなかった」ってセリフが、1日も早く、日本の古典的なギャグになったらいいな、って思います。ミカド、ほんとウケんね!

Text/ティナ助

初出:2018.05.25

次回は<“結婚”はあなたを救う奇跡ではない/ティナ助>です。
先日ニュースで報道された悲惨な虐待死のニュース。虐待をする人間だって結婚して親になれるのに、結婚できない私って…?そんな悩みに対して、私たちが言えることは。